2020年02月03日

字体変遷字典:【尸】尽局尿尾居屈

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【尽】「盡」の草書からできた略字だとおもわれる。「盡」には横線の数の違いによる異体字、「灬」を横線にする異体字、「灬」を省略する異体字がある。

【局】「尸+句」の異体字が「局」よりも優勢。

【尿】説文解字では「尾」部に分類されている。

【居】説文解字には3つの字体が載っている。そのうち「足」に従う字について大徐と段注は字体が異なる。段注によればこれは小徐に依るものだという。
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2020年01月05日

字体変遷字典:【小】尖尚【尢】尤就【尸】尺尻尼

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【尚】説文では「八」部、九経字様では「口」部、康煕字典では「小」部に分類されている。九経字様では「小」の点が「丷」になるものを「説文」、「ソ」になるものを「隷省」としているが、後漢の隷書に両方の形がある。康熙字典では「ハ」の形。

【尺】漢の隷書の時代までは、「尸」の左ハライが上の横線まで達しておらず、下の横線と接している。南北朝時代には、「尸」の左ハライが上の横線まで達している。漢字整理案によれば字典体では「尸」には3種あり、「刷」では左ハライが一番上の横線に接し、「尺」では左ハライが一番上の横線と二番目の横線の途中から書かれ、「屋」では上から二番めの横線と接している。標準体ではこの三種を左ハライが一番上の横線に接する「刷」の形に統一したという。康煕字典の「刷」と「屋」を参考に掲載する。

【尻】漱石は「九」ではなく「丸」を書いている。
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2019年12月31日

字体変遷字典:【寸】尉尋尊導【小】小少


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【尉】偏は「尸」+「示」ではなく、「尸」+「二」+「火」だったらしい。
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2019年10月24日

字体変遷字典:【寸】対専封射将

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【対】「對」の略字。明治時代から使われていたらしい。説文解字には偏の下部を「口」につくる字体があるが、使われた例がみつからない。

【封】説文解字では「土部」に掲載されている。
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2019年08月31日

字体変遷字典:【宀】寮寵【寸】寸寺寿

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【寺】メモ書きで「土」の横線と「寸」の横線のどちらを長くするべきか迷うことがある。「土」の横線を長くすることが多いのだが、武威漢簡、漱石、太宰には「寸」の横線を長く書いた例がある。特に漱石は「寸」の横線を長く書く。太宰は「土」の横線を長くしたり「寸」の横線を長くしたり両方である。また漱石はたびたび草書の「寺」を書く。
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2019年08月24日

字体変遷字典:【宀】寡察寧實審

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【寡】干禄字書の〈通〉が五経文字では〈石経〉に訂正されている。

【寧】当用漢字表に印刷されたのは「寧」、正誤表で訂正されたのが「寧」。「寧」は戦前からあったようだ。

【實】「実」は「實」の草書からできた字体だろう。「実」は当用漢字表の発表の時点であったし、太宰も使っている字体だから、たぶん戦前から普通に使われていたのだろう。

【寛】康煕字典の親字が点のある「寛」で、文部省活字も当用漢字表の字体も点のある「寛」。昭和24年の当用漢字字体表で点のない「寛」に改められた時点で岩田母型製造書には点のない「寛」の母型はなかった。
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2019年08月15日

字体変遷字典:【宀】寒寓富寛寝

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【寝】説文解字の部と宀部に異なる字が載っており、部の字は「病卧也」と病気で寝ること、宀部の字は「卧也」と病気ではなく寝ること。その2種類の字種の字体が混じり合って使われてきたようだ。説文解字と干禄字書・五経文字の字体が一致しない。
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2019年04月23日

「令」の印刷文字と手書き文字の字体について

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新元号「令和」が2019年4月1日に発表されました。
発表時、菅官房長官が掲げた「令和」と書かれた書の「令」の字に違和感を持ったのはわたしだけではないでしょう。
そこで「令」の字体についてまとめてみることにしました。

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上の表は古代から現在までの「令」の代表的な字体を示そうとして選んだ字形です。

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上の5例は内閣や省庁が告示や発表、使用している代表的な文字です。
左から「当用漢字表」「当用漢字字体表」「学習指導要領」「常用漢字表」「元号発表時」の字形です。

「字形」とした理由は、「字体」は「文字の骨組みの概念」なので目に見えないからです。
「字体」を字体の説明のために書けば「字形」ということになります。
概念というのは野球のストライクゾーンのようなものです。
サッカーのゴールは実物ですから見えますが、野球のストライクゾーンは概念なので目に見えません。

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「当用漢字表」は1946年(昭和21年)11月5日に国語審議会が答申し、 同年11月16日に内閣告示されました。
当時使われていた明朝体活字で印刷され、略字のある活字は積極的に略字が使われています。

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「当用漢字字体表」は1949年(昭和24年)4月28日に内閣告示されたもので、版下はどなたかが手書きで書いたものらしいです。
「令」の3画目は横線で、4画目は折れた(転折)後、真下ではなくやや左下に向かって書かれ、その後、左上にはねています。

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「小学校学習指導要領」の「国語」に「別表」として示されている「学年別漢字配当表」にある字形です。
「令」の3画目は点で、4画目は「フ」の形、5画目は点です。

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「常用漢字表」は「当用漢字表」「当用漢字字体表」にかわって、1981年(昭和56年)3月23日に国語審議会が答申し、同年10月1日に昭和56年内閣告示第1号として告示されました。
その後、2010年(平成22年)6月7日に文化審議会が改定常用漢字表として答申し、同年11月30日に平成22年内閣告示第2号として告示され現在に至っています。

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「常用漢字表」の書体は明朝体で、字体も明朝体のものですが、明朝体の特徴である「筆抑え」を省いた字形です。

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「常用漢字表」の前文には「書写の楷書ではいろいろな書き方があるもの」として「令」の用例が2例載っています。

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「常用漢字表」の前文の考え方を詳しく説明した「常用漢字表の字体・字形に関する指針」(文化審議会国語分科会 平成28年)の「字形比較表」には「手書き文字の字形の例」として「令」の用例が3例載っており「など」と用例が3例にとどまらないことを示唆しています。実はこの表に複数の例を載せ、「など」と加えるようにしたのは、わたし(大熊肇)の要望が採用されたものです。

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新元号発表時に示された字体は、「常用漢字表の字体・字形に関する指針」の「手書き文字の字形の例」の3例のいずれにも該当しない字体です。

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上の図は、「令」の3画目(A-1からA-2)、4画目(B-1からB-3)、5画目の字体(C-1からC-2)の字体部品のバリエーションを示したものです。

〈A-1〉は3画目を点ではなく横線を書くもので、次のような用例があります。

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楷書の極則といわれる九成宮醴泉銘の「令」の3画目が点ではなく横線なのは意外な気がします。
※上の図の「学区図書」は「学校図書」の誤りです。(2019.04.23訂正)

〈A-2〉は3画目に点を書くもので、次のような用例があります。

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手書き文字の多数が点を書きます。
大阪書籍「改定 小学国語 六年 下」1957年は「令和」の元号発表時の字と同じ字体です。

〈A-2-2〉は3画目に点を書きますが点が4画目の横線に接する例で、次のような用例があります。

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〈B-1〉は4画目を転折の後、ほぼ垂直に書き、左上にはねるものです。

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印刷用の明朝体の字体といえるでしょう。

〈B-2〉は4画目を転折の後、左下に向かって書き、終筆ははねません。

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手書きのほとんどがこのタイプです。

〈B-3〉は4画目を転折の後、やや左下に向かって書き、終筆をはねる例です。

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明朝体の字体を手書きしようとするとこうなるようです。

〈C-1〉は5画目を縦線にし、終筆を止める例です。

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長いものも短いものもありますが、字体としては区別しません。
終筆を止めるか払うかは明朝体では区別できませんし、字体の範疇ではなく、書体の範疇だろうとおもいます。
終筆を「止める」とか「払う」というのは篆書にはなく、隷書以降にできたようです。
※上の図の「学区図書」は「学校図書」の誤りです。(2019.04.23訂正)

〈C-2〉は5画目に点を書く例です。

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行書、楷書に圧倒的に多い例です。

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〈手書きの字体〉
字体の差は計算上は「2×3×2=12」で12種類ありますが、×を付けたものは通常は手書きでは書かないので、手書きの字体は「2×1×2=4」で4種類ということになります。

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実例をあげると上の4つですが、3画目が横線で5画目が点という組み合わせはレアな組み合わせです。

〈印刷の字体(明朝体)〉
明朝体の字体は1つだけだろうとおもいます。

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明朝体の字体を手書きで書くと、奇妙な字ができあがります。
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2019年01月09日

字体変遷字典 (【宀】害宮宰宵容)

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【宮】「宀+呂」の字体と「宀+口+口」の字体があるが、説文の親字に採用されている「宀+呂」が正(統)字体、「宀+口+口」が通(用)字体ということになるのだろう。現代中国では「宀+口+口」を採用。
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