2007年12月30日

「著」と「着」はもともと同じ字

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隷書や楷書のくさかんむりには、AタイプとBタイプがあり、Aタイプのくさかんむりの下に「者」を書いたのが「著」、Bタイプのくさかんむりの下に「者」を書いたのが「着」にすぎない。
もともと「著」も「着」も同じ字であり、区別がなかった。
これらがいつごろから使い分けられるようになったのかはわからないが、遅くとも江戸時代には、「著」は書物を著す・著書、「着」は到着・着物として使い分けが見られる。

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「著=着」はAタイプ、Bタイプ両方のくさかんむりが使われるが、どちらかに決まっている字もある。「苦」はAタイプ、「若」はBタイプである。これは似た字なのでくさかんむりの使い分けが生じたのであろう。
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【補足2】「斎藤」さんと「斉藤」さん

「齊藤」「斎藤」「斉藤」「齊藤」さんの由来について、さらに補足する。

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「斎藤」は、藤原利仁の次男、藤原叙用が斎宮頭になったときに「斎藤」と称したのを起源とするらしい。この説が本当なら、これは10世紀(平安時代中期)のことである。
「斎」は平安時代中期頃に書かれ始めた「齋」の略字だから、この名字ができた頃は、「齋藤」または「斎藤」と書かれていたはずである。ところが江戸時代になるとさらに略されて、「齋・斎」とは別の字種の「斉(齊の略字)」と字体が衝突する。字体だけを見れば、江戸時代には「齋の略字の斉」と「齊の略字の斉」があるのだ。
つまり一般的に考えられている〈「斉藤」の「斉(齊の略字)」は誤字〉というのは正しくなくて、〈「斉藤」の「斉」は「齋」の略字〉であり「斉藤」は間違いではない。
「齊藤」の「齊」は、「齋」の略字である「斉」を、「齊」の略字と勘違いしてできたものだろう。由来から考えれば「齊藤」は正しくない。

※斎宮(さいぐう、さいくうまたはいつきのみや、いわいのみや)は古代から南北朝時代にかけて、伊勢神宮に奉仕した斎王の御所。平安時代以降は賀茂神社の斎王(斎院)と区別するため、斎王のことも指すようになった。伊勢斎王、伊勢斎宮とも称する。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
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2007年12月27日

【補足】「わ」と「れ」の左側は同じ形ではない

通常は1日に100アクセスあるかないかの地味なブログに
http://tonan.seesaa.net/article/74092312.html
では8000アクセスが数日続いてとまどっています。
コメントを寄せてくださった方、トラックバックしてくださった方、リンクしてくださった方、ありがとうございます。また、うっかり丸数字(機種依存文字)を使ってしまい申し訳ありませんでした。
質問をいただいたのでそれにお答えします。

Q:「ね=祢」は「れ=礼」の左側と同じか?

A:「ね=祢」は「れ=礼」の左側とまったく同じです。ついでですが「り=利」は「わ=和」とほとんど同じ形になります。「り=利」と「わ=和」が近くにくる場合は、「り」を変体仮名の「里」にしたり、「わ」を変体仮名の「王」にしたりして区別しています。
現在の平仮名の「り」は、のぎへんを縦線1本、りっとうを縦線1本に略したものです。

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Q:「は=波」と「ほ=保」の左側の形は同じか?

A:さんずいもにんべんもくずすと同じ形です。

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なお、「保」は「人+口+木」ではありません。「人+子」です。「子」に点がついたものが「口+木」にまちがえられたのです。「木」ではカタカナの「ホ」になりません。

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※図版中の略称:高一=高野切第一種 高二=高野切第二種 高三=高野切第三種 継=継色紙 秋=秋萩帖 関=関戸本古今集 倭=御物本和漢朗詠集 松=松籟切 十=十五番歌合 入=入道右大臣集(頼宗集) 元=元永本古今集 広=広田社歌合 入定=入道右大臣集(定家補筆) 中=中務集 定=更級日記 金=金葉集 寂=古今集 土=土佐日記 浄=拾遺集 兼=兼好法師家集 堯=百人一首 栄=栄雅詠草 実=石清水若宮歌合等 言=源三位頼政集 霊=麓木抄 吉=称名院殿詠哥
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【補足】「斎藤」さんと「斉藤」さん

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『組版/タイポグラフィの廻廊』(白順社)に次のように書いた。

―― 「サイトウさんのサイはどんな字ですか?」と聞くと「難しい方のサイです」などといわれて困ることがある。どうもサイトウさん本人もよくわかっていないらしい。「斉」と「斎」は違う字種だ。「斉」は「セイ」と読む字。「そろう・ひとしい」と訓じる。「斉」は当用漢字にはなく、常用漢字で追加された字だ。「斉藤」を「サイトウ」と読むのは慣用読み。「斎」は「サイ」と読む字で、「ものいみ・つつしむ」と訓じる。斎場とは書くが斉場とは書かない。
 「斉」は「齊」の略字で、「斎」は「齋」の略字だ。この略字は中国では書かれていなくて、伝統的な字体と正字にも字体の差がない。日本に伝わった頃にも書かれていない。どうも平安時代に書かれ始めたらしい。江戸になると書き順を変えて書かれるようになり、「斉」と「斎」の区別がほとんどなくなる。これがこれらの字を混同するようになった原因だとおもう。江戸では行書よりさらにくずす字体があるが、中国の草書とはまったく違うくずしかただ。
 「斉」について、藤堂明保は「◇印」、加藤常賢は「穀物の穂先」、白川静は「巫女の簪を三本まとめた形」としている。「斎」は会意や会意形声などの解釈の相違はあるが三者とも「斉+示」としており、「示」についても三者とも「神に祈るための机」で同意見。――

ところが最近読んだ、金谷武洋『日本語文法の謎を解く――「ある」日本語と「する」日本語』(ちくま新書)に次のようにあるのをみつけた。

――中には「(官職)の藤原」起源の苗字もある。「斎宮頭の藤原」から「斎藤(斉藤)」――

つまりもともとは「齋藤」らしいのだ。「斎」は平安時代に書かれだした「齋」の略字である。それが江戸時代にさらに略され、別字の「斉」と字体が衝突したのだ。
「斉藤」の「斉」は、「齊」の略字ではなく「齋」の略字だと思われる。
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2007年12月22日

「わ」と「れ」の左側は同じ形ではない

『組版/タイポグラフィの廻廊』(白順社)に、「秘」は本来は「祕」で「秘」は誤字であり、単なる誤字が由緒ある誤字になったのは王羲之が誤字である「秘」を書いたからだ、と書いた。
このように「のぎへん」と「しめすへん」は古来たびたび間違われている。

ひらがなも同様で、たとえば「わ」は「和」をくずしたものであり、「れ」は「礼」をくずしたものだから、左側の偏の部分は本来は違うかたちになるべきだ。

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上の図版は「元永本古今集」の「われ」だ。

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(丸1)が「わ・和」の基本形で、(丸2)が「のぎへん」に最低限必要な部品でこれを「実画」という。「禾」の「ノ」と縦線が一本の縦線に略され、次に横線を書き、つづけて左はらいを書く。右のはらいは略される。(丸3)の点線は実画と実画をつなぐ「虚画」だ。
(丸4)が「れ・礼」の基本形で、(丸5)が「しめすへん」に最低限必要な部品。「示」の二本の横線と縦線を一本の縦線に略し、つづけて左はらいを書く。右のはらいは略される。
「わ・和」の「のぎへん」の横線がさらに略され、「しめすへん」と同じように書かれることはあるが、一画増やして「しめすへん」を「のぎへん」のように書くのは間違いだ。
「しめすへん」の多くは(丸6)のように最短距離で書かれるが、まれに(丸7)のように大回りすることもある。これが「のぎへん」とまちがわれる原因である。だが次のように上から回り込んでくることはない。

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ほとんどのフォントは「わ」と「れ」の偏を書き分けていないが、書き分けている数少ない例を示す。

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これらのフォントは書き分けているだけでも立派なものだが、この中で最も好ましいのは築地体後期五号仮名(大日本スクリーン)だ。このフォントだけは「れ」の虚画が太くなっていない。

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アンチック Std(モリサワ)は書き分けているのに、アンチック 学参フォント (モリサワ)は、書き分けていない。小学生の教科書用の教科書体も書き分けていない。ちゃんとした字を教えてほしいなあ。
posted by トナン at 17:17| 埼玉 ????| Comment(8) | TrackBack(10) | 文字あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月09日

拷問航空へようこそ

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アムネスティインターナショナル・オーストラリアが企画したキャンペーンのリーフレットを日本語版にローカライズしました。

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エア・トーチャーのご案内

 エア・トーチャー(拷問航空)は、囚人を世界各地にある秘密収容所に移送する、特別なエアラインです。航空運賃は無料! めんどうなお申し込み手続きはいっさいありません。

〈エア・トーチャーのサービスについてのご説明〉
◯ お座席は、すべて米諜報機関を通してのご予約となります。
◯ エア・トーチャーのシートベルトは、まったく新しい、これまでにないタイプです。お客様にご不快な姿勢のまま、手錠や足かせをいたします。また、お客様のお顔に袋をかぶせるなどのアメニティもございます。さらにボーナス・プレゼントとして、強制的にお薬を飲ませ、失神された状態でのフライトをご用意しております。
◯ エア・トーチャーは、お客様のプライバシーを尊重しております。私どもは、お客様がどこにいらっしゃるか、お客様に何が起こるか、またいつお戻りになるか、お客様のご家族には一切お知らせいたしません。

詳しい情報は……
www.amnesty.or.jp」
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こういうアイロニーが日本で受け入れられるかちょっと心配です。
ボクは好きなんだけど。

このリーフレットは、アムネスティインターナショナル・日本で配布しています。

日本語版デザイン:大熊肇

PDFデータ
071105torture.pdf
posted by トナン at 16:54| 埼玉 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | tonanの装丁・デザイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする