2016年06月24日

小篆の「奈」

篆刻は通常、小篆か印篆で刻むのだが、「奈」という字は小篆にも印篆にも見えない。
『新書源』によれば、「奈」は前漢に出来た文字らしい。
『必携篆書印譜字典』を引くと「篆は柰に作る」とある。
小篆にはない形なので、「奈」のかわりに「柰」を使えということらしい。
「奈」と「柰」は異体字なのだろうか、別字なのだろうか。
小學堂」という文字検索サイトで「奈」の「異体字字典」を検索すると、『説文解字』は、表示されない。

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同じサイト内で「字形演變」を見ると、親文字として「祟」が表示され、説文の「示部」として「祟」の字体がある。
「包山楚簡」に「奈」の字体が見える。

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「小學堂」で「祟」の「異体字字典」を検索すると、説文の「示部」として「祟」が見える。

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「字形演變」では甲骨文までさかのぼって表示される。
《說文》「祟、神禍也。从示、从出。籀文祟从省」と説明がある。
「祟」は神の禍だという。

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「小學堂」で「柰」の「異体字字典」を検索すると、説文の「木部」として「柰」が載っている。

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「字形演變」では甲骨文まで表示される。
《說文》「柰、果也。从木、示聲」と説明がある。
「柰」は果実の形ということか。
以上をまとめると、説文によれば「祟」と「柰」はまったくの別字ということははっきりしているが、「奈」が「祟」の異体字なのか、「柰」の異体字なのかで説が分かれるようだ。
「小學堂」では、「奈」は「祟」の異体字で、「柰」は別字扱いしている。

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康煕字典』で「奈」を引くと「奈同柰詳木部柰字註」と説明がある。「奈は柰と同じ、詳しくは木部の柰字を註す」ということなので、今度は「柰」を引いてみると、長文の中に「俗作奈」とある。『康煕字典』では「奈」は「柰」の俗字であり、異体字という説をとっている。

さて、篆刻では「奈」、「柰」、「祟」のどれを刻んだらよいのだろうか? 

なお、篆刻では説文にその字がない場合は、側款(印の側面)にその旨を刻すのが通例になっている。「奈」が説文にない場合は、「説文無奈」または「奈説文所無」と刻す。それに続けて「奈」の字体を刻す場合は、「本當作奈」または「篆當作奈」と刻す。さらに「奈」の現在の字体を篆書風にして刻す場合は「奈从新體」とする。「从」は「従」だ。新体としてではなく「包山楚簡」に「奈」があったのを根拠に「奈」を刻す場合は、「包山楚簡有之 今从之」とする。

「柰」を刻す場合は、「説文無奈 本當作柰」とでもして、根拠を示す場合は続けて「今从康煕字典説」とでもするか。

「祟」を使う場合は、「説文無奈 本當作祟 今从小學堂説」とするか。
本来は字書の名前やサイトの名前より、その説を唱えている学者名を入れた方がよいのだが、仕方ない。

 
posted by トナン at 16:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 文字あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月17日

字体変遷字典(【土】報塁塩塊塞)


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【塩】別体/許容は明治の漢字、國定教科書、陸軍にも掲載されている。

【塞】甲骨、金文には「土」がない。
posted by トナン at 17:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 字体変遷字典(大熊肇試作) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月12日

劉賢国印、賢徳


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劉賢国印

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賢徳
posted by トナン at 18:09| Comment(0) | TrackBack(0) | tonanの篆刻 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月11日

大橋紫印


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大橋紫印
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