2021年06月30日

字体変遷字典 【廾】弁弄弊

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【弁】「辨/辧」「辯」「瓣」を統合した字。本来は「辨明/辧明」「辯護」「安全瓣」のように使い分ける。「弁」は冠の名。「辨/辧」は識別する、区別すること。「辯」は論争すること。「瓣」は瓜の中の実。漱石は「勘弁」「辨解」「辨當」、「辯ずる」「辯舌」「辯論」「能辯」「辯護」「能辯」「辯解」と使い分けている。「辨解」と「辯解」を使っているのはどちらかが誤用か。太宰治が『人間失格』を書いたのは当用漢字表で「辨・瓣・辯」が「弁」に統合された2年後だが、手書き原稿に「能辯家」と書いている。

【弄】2010年に常用漢字に追加された字。

【弊】篆書では「獘」を用いる。
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2021年06月26日

字体変遷字典 【廴】延廻建廼【廾】廿

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【延】説文解字での部首は「廴」でも「延」でもなく「㢟」部に分類されている。康熙字典では「廴」部の4画に掲載されている。

【廻】JIS2004の例示字形変更によって、えんにょうに筆抑えがついた。説文には不録で「回」を使う。中国では「回」を使う。

【建】泰山刻石と大徐のえんにょうの形が異なる。えんにょうは、特に北魏では点をつけて書かれたり、しんにょうを書かれたりすることが多い。

【廼】「迺」とは異体字。北魏では「迺」がたくさん書かれている。九経字様にも康煕字典にも「迺」は載っているが「廼」は載っていない。それなのに「廼」がJIS第1水準で、「迺」はJIS第2水準。
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