『字体変遷字典』が4割終わりました。
ただいま終わったところまで見直し作業をしています。
主に『説文解字』の大徐本と段注本の差を見ていますが、これが実に興味深い。
まだ先が長いです。
2025年04月30日
2025年04月19日
字体変遷字典 392−401頁

【旺】2010年(平成22年)に常用漢字表に追加された。「暀」を異体字とする資料がある。
【昆】1981年(昭和56年)に当用漢字表外から常用漢字表に追加された。

【昇】説文不録で新附で取り上げられた字。南北朝よりも前の使用例が見つからないので説文で不録になるのも頷ける。説文新附の字体に従った例が見えない。
【昌】説文の時代の前後を見ても説文と同じ字体がみつからない。九経字様は説文の字体に従って下の「日」の左上を空けている。
【明】説文解字と康煕字典で秦篆と古文の字体が逆。岩田母型製造所は「月」の横線が縦線に接していない字体を旧字体、横線が縦線に接している当用漢字字体表の字体を新字体と認識していたようだ。
【映】説文不録で新附で取り上げられた字。南北朝よりも前の使用例が見つからないので説文で不録になるのも頷ける。

【春】説文の字体は春秋の金文にほぼ合致している。説文の字体「萅」が漢代には「春」になるが、なぜこの字体になるのか不明。「萅」と「春」は別系統の字体なのかもしれない。

【昧】2010年(平成22年)に常用漢字表に追加された。
【晦】JIS2004(JIS X 0213:2004)で例示字体が「晦」から「晦」に変更された。
【晃】「晃」と「晄」は文字の部品の位置が異なる「異構」や「同用字」といわれる関係の字。「晄」は説文解字の字体。康煕字典では「晃」と「晄」を同字としている。
【晒】説文解字では「晒」は不録で「曬」を「暴也」としている。康煕字典には「晒」の項目に「『字彙補』興曬同」とある。大陸中国では「曬」を使わず「晒」だけを使っており意味は「冷遇する」だ。

【書】「書」は本書が参照している『JIS漢字字典』では「日」部に分類されているが、他の字典にはに「曰(いわく・ひらび)」部に分類、「聿(いつ・ふでづくり)」部に分類、「日・曰」を一緒にした部首に分類、と4種類の分類がある。説文解字は「聿」に分類、康煕字典は「曰」に分類、五経文字は「又」に分類している。五経文字は「聿」を手で筆を持つ形とし手を「又」と解釈して「又」部に分類したのだろう。
【晦】JIS2004で例示字体が「晦」から「晦」に変更され、画数が一画増えた。
【景】「京」の「口」を「日」にした字体が多く見られる。