2009年04月24日

新字体と旧字体について

たとえば、去年の米は今年の新米ができると古米といわれます。新米ができる前は去年の米でも古米とはいいません。
それと同じように、新字体ができたことによってそれまでの字体が旧字体と呼ばれるようになったわけです。
ですから、新字体が何かがわかれば旧字体もわかるはずです。
一般的に新字体とは、当用漢字表、当用漢字字体表、常用漢字表で簡易慣用字体になったものを指します。さらに人名用漢字で簡易慣用字体になったものも含めることもあるようです。
ですから、旧字体というのはこれらの簡易慣用字体に対応する字体を指します。
当用漢字表、当用漢字字体表、常用漢字表で簡易慣用字体にならなかった字種には、新字体も旧字体もありません。
1つの新字体に1つの旧字体とは限りません。たとえば新字体の「悪」には「惡」という旧字体がありますが、他に「西」の下に「心」と書く字体もありました。これも旧字体ということになるはずです。

ところで当用漢字字体表はともかく、当用漢字表で示された簡易慣用字体(131字)は、新字体と言ってしまって良いのでしょうか。
当用漢字表を印刷した活字は、特別に作ったものではなく既成の活字です。当用漢字表よりも前から使われていた活字の字体を「新字体」といってしまってよいのかどうか疑問が残ります。

また、新字体というのは印刷用の字体(主に明朝体)に限っての話で、手書きの場合は別に考えるべきだろうとおもいます。
当用漢字字体表の元になった「活字字体整理案」(活字字体整理に関する協議会、昭和22年12月12日)には、
――現在の慣習や歴史的な用例によりどころを求めて、あらたに考案することを避けた。(活字字体整理案の説明、第二の五)――

とあります。
つまり、当用漢字字体表の字体は、人為的に新しく作ったものはなくて、もともと手書きで慣用されてきた字体から採用しています。新字体と言われている字体は、手書きでは昔から現在までずっと書かれ続けている字体です。
もともと書いていた字体を新字体というのはおかしいとおもいます。ですから手書き字体には新字体も旧字体もないのです。
posted by トナン at 21:54| Comment(2) | TrackBack(0) | 文字あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>つまり、当用漢字字体表の字体は、人為的に新しく作ったものはなくて、もともと手書きで慣用されてきた字体から採用しています。
 新字体の中にはそうやって作られたものも多くありますが、私が当用漢字表制定以前に書かれた書類(手書き)を読んで一回も見たことのない字もあります。ほとんどは、きちんと旧字体通りに書かれていましたよ。
>新字体と言われている字体は、手書きでは昔から現在までずっと書かれ続けている字体です。
もともと書いていた字体を新字体というのはおかしいとおもいます。ですから手書き字体には新字体も旧字体もないのです。
 これは完全にあなたの誤りです。新字体は単なる略字として使われていたものです。
信用できないとおっしゃるなら、ここに好きな漢字を打ち込んでみてください。
 http://www.joao-roiz.jp/HNG/
また、このページで憲法の原本も見てみて下さい。
 http://www.digital.archives.go.jp/
手書き字体にも、新字体と旧字体はあります。違うのは、しめすへん、しんにょう、しょくへん、郎や即の下の部分くらいでしょうか。
Posted by 通りすがり at 2013年04月02日 14:21
コメントありがとうございます。
たしかに当用漢字字体表には、どこで使われていたんだ? というような不思議な字体もありますね。
Posted by ( ´_ゝ`) 大熊肇 at 2013年04月02日 18:39
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