明朝体の主要版下は5種類(他にタイプライター用などあり)
2”m(2インチの版下のスモール・エム) Sの8ポを翻刻 6ポから12ポの明朝体に使用
2”M(2インチの版下のラージ・エム) Sの4号を翻刻 14ポの明朝体に使用
3”m(3インチの版下のスモール・エム) 2”mを太くしたもの 16ポの明朝体に使用
3”M(3インチの版下のラージ・エム) Tの2号を翻刻 18ポから28ポの明朝体に使用
4”M(4インチの版下のラージ・エム) Tの1号を翻刻 32ポから42ポの明朝体に使用
ゴシック体の主要版下は4種類(他にタイプライター用などあり)
2”LG (2インチの版下の細めのゴシック) Sの9ポを細めて翻刻 6ポのゴシックに使用
2”G(2インチの版下のゴシック) Sの9ポを翻刻 7ポから16ポのゴシックに使用
3”G(3インチの版下のゴシック) 電胎母型の頃の岩田の3号を翻刻 18ポから28ポのゴシックに使用
4”G(4インチの版下のゴシック) 電胎母型の頃の岩田の1号を翻刻 32ポから42ポのゴシックに使用
高内さんは、上記5種類の明朝体、2”LG、2”Gのデザインに関わっている。
楷書と教科書体は、電胎母型の頃の岩田の活字(大間善次郎さんが種字を彫刻)の清刷から翻刻した。
なぜ岩田の明朝やゴシックを翻刻せずに、SやTを翻刻したのか。
〈高内一さんの証言〉
すべて岩田百蔵社長の指示である。
大きなサイズのSのかなはくせがありすぎるので、Tを元にしたのだと思う。
〈大間善次郎さんの御子息の証言〉
岩田百蔵社長が何度も打ち合わせに来て、大間善次郎がベントン用の明朝体の版下を書いた。
岩田社長は、それをベントンに使おうと試行錯誤したが、結果的に「大間さんの版下はベントンには向かない」として不採用になった。
どういうところがベントンに向かないのかは不明。
(2006年1月25日の活字研究会にて)
※以上は、著作権意識が低い1950年代はじめの話。
他社の活字を翻刻して自社の活字を作るということは、一般的に行われていたらしい。
写植の時代でもMM-OKSが築地の12ポをトレースしたものだということは有名な話。
母型業者が、活字を買いに行くと(翻刻するのをみこしてか)値段が高かったという。
2006年01月27日
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不思議
Excerpt: tonan's blog: 岩田母型のベントン用版下のラインナップにおいて、大熊肇(トナン)さんが岩田母型の書体についての当事者からの聞き取り結果を一部明らかになさっていらっしゃいます((聞い..
Weblog: 築竹な日々
Tracked: 2006-01-29 15:03