二千円札に書が印刷されているのをご存じだろうか。この書の三行目の行末の「は(八)」の収筆にはなぜか下に続くような脈絡がある。行末に脈絡は要らない。素人ならこう書くこともあるかもしれないが、達者な書だけに余計に不可解だ。こんな上手な書を書く人がこのような初歩的なミスをするとはどうしても思えないのだ。とにかく何と書いてあるのか解読してみた。
すゝむし
十五夜のゆふ
に宮おはしては
たまひつゝ念珠
あまみたち二
つるとてならす
のけはひなとき
いとなみにいそき
るにれいのわ
いとしけく
と書いてあるようだ。しかし意味が通じない。
いろいろ調べた結果、やっと謎が解けた。この書は『源氏物語絵巻』の「鈴虫の巻」の詞書きである。
すゝむし
十五夜のゆふくれに 佛のおまへ
に 宮おはして はしちかうなかめ
たまひつゝ 念珠したまふわかき
あまきみたち二三人 はなたてま
つるとて ならすあかつきのおと 三つ
のけはひなとき こゆさまかはりたる
いとなみにいそきあへるいとあはれな
るに れいのわたりたまひて むしのね
いとしけくみたるゝゆふへかな
が全文で、そのうち赤文字の部分だけを印刷しているのである。行末だと思っていた「は(八)」は語頭だったのである。語頭なら収筆に脈絡があるのは当たり前だ。しかし紙幣に意味の通じない言葉を印刷しているとは驚いた。書を模様としか考えていないのであろう。
当方2000円札の普及に努力している者です。
おそらく偽造防止のために、
原文を途中で切ったのでしょう。
今の紙幣はいろいろな隠し技が
使われているようです。
それでは、拙ブログにもお立ち寄りください。
アクセスログから来ました。
偽造者が原文を切った位置を
別の位置で切ってしまう。
あるいは違うイメージにコピーを
するなどして、素人は誤魔化せても
鑑定者にはすぐ判るようにするのでは
思います。
デザインの勉強を大学でしてます。
特にタイポグラフィーを勉強中。
アートやデザインの世界では、書を途中で切るなどして模
様として見せる技術を結構使ってるよ。
起源はわからないけど、何百年も昔の作品にも見られるか
ら伝統的なのでは?