2010年03月01日

教育漢字についての私見(1)

学参フォント(Gフォントとも)というのがある。

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もとより明朝体と手書きの文字とは形が違う。小学校の低学年ではその違いが理解できず「糸」を明朝体と同じように8画で書いてしまったりする。そのような子どもたちのために教科書体がある。
明朝体と手書きの文字との形の差を埋めようとするのが学参フォントである。余計なお節介だと思う。差を埋めようとするから差が曖昧になるのだ。

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印刷の字体をいわゆる康煕字典体に戻した上で,低学年はともかく,3年生か4年生になったら,「明朝体は上のような形で印刷するけど,手で書くときは下のような形で書くんだよ」ということを教えたい。
そもそも当用漢字字体表や常用漢字表に中途半端に手書きの字体を導入したために,印刷の字体と手書きの字体の違いが曖昧になってしまった。
印刷の字体に手書きの形を導入するという当用漢字表,当用漢字字体表,常用漢字表の考えを敷衍すれば,学参フォントのような奇矯な形になるのは必然だろう。

当用漢字表,当用漢字字体表,常用漢字表では極端な略字を採用したが,繁体字のままの方が良かった。

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極端な略字を繁体字に戻せば良いというわけではない。繁体字でもいわゆる康煕字典体と伝統的な楷書では字体が違うものがある。

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伝統的な楷書と弘道軒清朝体の字体が同じ場合は,弘道軒清朝体を用いて表示した。

繁体字でも「いわゆる康煕字典体」と「伝統的な楷書(通用体)」は形が違うのでご注意。

印刷の字体と手書きの字体が異なるのは,アルファベットを例に考えるとわかりやすい。

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ローマン体の「a」と筆記体の「a」では字体が違う。筆記体を元に作られたイタリック体は筆記体と同じ字体だ。ローマン体と同じ字体で筆記体やイタリック体を作るのはむずかしい。逆に筆記体の字体でローマン体を設計するのもむずかしい。

これを日本の漢字施策にたとえると,手書きもローマン体の「a」の字体を書くようにしたのが,明治から昭和24年の当用漢字字体表以前。印刷の文字を筆記体の「a」の字体で作るようになったのが,当用漢字字体表以降ということだ。

印刷には印刷用の繁体字である「いわゆる康煕字典体」を使い続けるべきだった。

学校では,印刷も手書きも略字ではなく繁体字を使い,印刷では「いわゆる康煕字典体」を,手書きでは「伝統的な楷書(通用体)」を教えたい。
その上で,実社会での手書きでは常用漢字のような略字も許容するという,おおらかな世界が望ましい。
なお伝統的な楷書では「圖」の中の「口」は「ム」の形に書くことが多い。
posted by トナン at 02:49| Comment(1) | TrackBack(0) | 文字あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
確かに、学参フォントって曖昧で微妙な感じを表現するときに敢えて使ったりしますねぇ
Posted by 読人しらず at 2010年03月01日 05:45
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