2010年08月16日
『字体変遷字典(仮)』且丕世丙丞中串丸丹主
【世】古くから「世」「卋」「丗」とその亜種がある。中央の縦線が下に出た文部省活字の字体が説文篆文に近い。開成石経の字体は唐太宗の諱・世民の「世」を避諱し欠画したものか。「卋」は九経字様にあるが『康煕字典』では古文。漱石は「世」「丗」2種類の字体を使用。
【丘】説文では「丘」の下に「土」を加えた字体を古文としている。『康煕字典』では「北」の下に「土」を加えた字体を古文としている。「丘」を「北」と誤ったか。
【丙】行書や楷書では囲まれた空間中で右払いはしない。
【丸】点の位置に注意。『康煕字典』では「凡」に似た字を正字とし、通用字体を俗字としている。漱石は江戸版本と同じ字体を書いている。直井潔「国定教科書に於ける正字俗字一覧表」では「文部省に於いて特に正体を舍てて俗體を取りれたるもの」としている。
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック