2010年09月15日
『字体変遷字典(仮)』享京亰亭亮亳人介仇今
【享】櫓(梯子)が説文篆文では四角になる。説文篆文と正字(開成石経と康煕字典)の字体が一致しない。開成石経は櫓(梯子)を書いているが、康煕字典では四角である。
【京・亰】前漢以降、「口」を書かずに「日」を書く。正字の九経字様は説文に倣って「口」を書く。江戸以降、「口」を書くのは『干禄字書』や『康煕字典』の出版による影響か。康煕字典では「亰」は「原」の俗字。
【亭】正字の開成石経も櫓(梯子)。漱石は「口」「櫓(梯子)」「草書」と3つの字体を書いている。流石は漱石。
【亮】甘谷漢簡、楊貴氏墓誌、文部省活字の足が「几」の形。五車韻府、美華書館、築地二号の活字もこの字体なので、文部省活字はその影響を受けたものか。
【介】本来「人」の左右に線がある字体なのだが、その通りに書くと「分」と似た字体になるため、書き順と字体を変えたのか。江戸では節用の字体が一般的。弘道軒はそれを採用。明治の教科書にもこの字体が使われた。
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