2010年10月06日

畏るべし漱石! 1字種に複数の字体を書く

101006-1.png

集英社新書ビジュアル版『直筆で読む「坊っちゃん」』から引いてきた「世」。
この字種の楷書・行書には3種類の字体があるが、夏目漱石は、同一の原稿中に2種類の字体を書いている。

101006-2.png

これも同書から引いてきた「亭」。
上部が「口」のものと「やぐら(はしご)」の2種類の字体を書いている。

「世」の2種類の字体も「亭」の2種類の字体も、書き慣れた筆致であり、意識的に書き分けたのではなく、無意識に書き分けたのだろう。
漱石は字を読むだけではなく、手習いもかなりやっていたのだろう。
posted by トナン at 22:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 文字あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
よく字形の例として夏目漱石の字が出てくるのですが、「手習いもかなりやっていたのであろう」わりには字が上手いとはお世辞にも言えないと私などは思うのですが、書家から見ると上手いのでしょうか?
また、誤字脱字も多かったとも聞きます。
明治の一般庶民の一例として挙げているのでしょうか?
Posted by 通りすがり at 2010年10月07日 00:36
これは小説の原稿だから最初から上手に書く気がないんですよ。
作品として書いた書は上手ですよ。

現在学校で教えている字や常用漢字が唯一正しい字体だとしたら、漱石の字には誤字が多いということになります。
たとえば「仕」の旁が「土」なんていうのは、今の常識からみれば誤字です。
でも伝統的には両方の字体を書いていました。
漱石は伝統的にまっとうな字体を書いています。
Posted by 図南 at 2010年10月07日 01:20
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック