板倉昌宣著『活版印刷発達史』印刷朝陽会の193頁に小さく載っていたものを拡大してみました。
筆ではなくペンで書いたものだと思います。
江戸っぽい崩し方ですね。
最初は6割ぐらいしか読めませんでした。トホホ。
ネットで検索したら
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/1996Moji/05/5901.html
の『歴史の文字 記載・活字・活版』の小宮山博史さんの文に、三谷幸吉『本木昌造平野富二詳傳』に載っていた釈文が引いてありました。
そこにあったのは、
「黄揚を以て其欲する處の文字の大小に隋て正しく四角の駒を製す。其長は好に應ずべし。但予の製する處のものは西洋の活字に傚ひ、其長さ七歩八厘あり。此駒に彫刻す。其文字は成べく深く刻することを良とする。凡二歩五厘角の文字は其深さ五厘餘、五歩角のものは、其深さ一歩餘にして、左右、上下勾配を施し以て蝋形を取るに及んで、能く蝋より抜け出る様に彫刻するなり。」
ですが、図版と見比べてみるとちょっと違いますね。
正しくは下記のとおりだとおもいます。
黄揚を以て其欲する処の文字の大小に
随て正しく四角の駒を製す其長は
好に應すへし但予の製する處のものは
西洋の活字に傚ひ其長七歩八厘あり
此駒に文字を刻す其文字は成へく深く
刻するを良とす凡二歩五厘角の文字は
其深五厘余五歩角のものは其深さ一歩
余にして左右●上下勾配を施し以て
蝋形を取るに及んて能く蝋より抜出る
様に彫刻するなり
※元さんのご指摘により、2行目の「隋て」を「随て」と修正(2010/11/24)
隋て→随て
ご指摘の通り訂正しました。