2006年05月29日

右と左はなぜ書き順が違うのか

「右」と「左」は書き順が違うのをご存じだろうか。
「右」は左払いを書いてから横線を書く。
「左」は横線を書いてから左払いを書く。

migi-ten-2.jpg migi-kai-2.jpg

左の字が篆書、右の字が楷書の「右」である。
「右」という字は右手の形と「サイ」という祝詞を入れる器の会意字なのだが、右手の指にあたる部分が楷書の左払いになり、腕が横線になる。
だから左払いを先に書き、横線を後に書く。
古くは、左払いの起筆を引っかけていた。
これは、指の形のなごりなのだろう。
また、指は短く腕を長く書く。
だから「右」は、左払いが短く、横線が長い。

hidari-ten-2.jpg hidari-kai-2.jpg

一方、「左」は、左手と「工」という呪具との会意字なのだが、左手の指にあたる部分が横線になり、腕が左払いになる。
だから横線を先に書き、左払いを後に書く。
また、指にあたる横線を短く、腕にあたるひだり払いを長く書く。

hidari-rei.jpg migi-rei.jpg

隷書でも同様である。
「左」は指にあたる横線に波磔はないが、「右」では腕にあたる横線に波磔をつける。
posted by トナン at 17:35| 埼玉 ☁| Comment(3) | TrackBack(0) | 文字あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
前から疑問だったので、今は本当にスッキリしました。
Posted by ANIME at 2008年06月19日 20:11
ANIMEさま
コメントありがとうございます。

これはこのような書き順で書く場合が多い、ということで、違う書き順をただちに誤りとするものではありません。
現在の中国の教育では、右も左も同じ書き順です。
「友」は右手が2つですから、字源をもとにすれば左払いを先に書くべきですが、横線を先に書くように書き順がかわっています。
Posted by トナン(大熊肇) at 2008年06月20日 03:36
はじめまして

なるほど。
納得です。

しかし、奥が深そうです。
リンクをみて 興味津々
というか、日本海溝をのぞいた感じです。
深淵…。
どういう風に勉強したらこんなことわかるようになるのかと…
Posted by いの at 2009年03月15日 17:50
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック