2011年07月10日
『字体変遷字典』06-2 【儿】兎免兒党兜【入】入
【兎】甲骨文にはたくさんの例があるが、6種類だけ紹介。金文の例がみえない。「兎兎兔兔莵莵菟菟菟」などたくさんの異体字があるが、もっとも多く書かれてきたのは「兔」。五経文字では「兔」の最終画が点ではなく横線。康煕字典では「兔」を本字とし、「兎(兎ではない)」を俗字とする。「兎」は中国では明代に書かれはじめたようだ。江戸時代は「莵」の使用例が多い。弘道軒が見慣れない字体を採用しているが漱石の字体も同じ。明治時代には普通に書かれていた字体なのかもしれない。驚いたことに文部省活字も同じ字体。
【免】説文には見えない。南北朝期に「勉」のような字体がある。干禄字書では「莵」から点をとった字体を〈正〉とし、草冠のついた字体を〈通〉としている。開成石経では「免」ではなく「兔」から点をとった字体で現代中国もこの字体を採用。康煕字典では「免」。文部省活字は「免」。
【兜】上部の「白」を、2分割した「臼(E+ヨ)」で挟む異体字が漢代からある。楷書の「房山雲居寺石経」は「白」の下に「臼」を書く動用字。「白」を「北」で挟む字体もある。
【入】古代には「大」のような字体もあった。居延漢簡では「人」とかわらない書き方がある。
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といったことを書いておいた方がいいと思います。
ご指摘感謝。
了解しました。
文部省活字の字体は使われてはいますけどね。