2011年08月06日

「木+成」と書く「森」の異体字


110806-1.png

江戸時代は「木+成」と書きますね(江戸時代の「成」は上の横線を省略します)。
なぜこんな字体になったか考えてみますと、草書で下部の「林」を縦・縦・横・左払い・右払いという風に書いたのを「成」と誤ったのだろうとおもいます。

木が成って森になるという会意的な洒落になっているのかもしれません。

下部を点4つにした字体からできたのではないかとも考えてみたのですが、ちょっと無理っぽいです。
その理由の1は、画が増えちゃうからです。
理由の2は時期の問題です。点4つにした字体がよほど前からあって、「木+成」が後からできたのなら可能性がありますが、どちらもほぼ同時期にできた異体字らしいからです。

『異体字解読字典』(柏書房)にある字体は、「木+成」をさらに略しています。

110806-2.png

『古文書解読字典』(柏書房)には「木+成」が異体字として載っています。
posted by トナン at 07:20| Comment(2) | TrackBack(0) | 文字あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ありがとうございます。
「森」が「木」3つで出来ているというのはかなり分かりやすいので、誤ったというのはないかな。と思ったので、四つ点の字から考えてみましたが……。
「会意的な洒落」という意識はありそうですね。
Posted by 翔平 at 2011年08月06日 23:35
楷書や行書は「木」を3つと覚えるでしょうけど。草書の字体を「木に成に似た形」と覚えることはあるでしょう。それが「木に成」と誤ることは考えられると思います。
「異」の草書を「乙大」と覚えたり、「喜」の草書を「七十七」とか「七七七」と覚えたりするように。
Posted by 大熊肇 at 2011年08月07日 00:14
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