2011年11月13日
『字体変遷字典』07-3【冫】凋凍凌凉凛凜凝
【凍】説文篆文は「冫」だが漢代の武威漢簡、北魏の唐雲墓誌は「氵」に従っており、干禄字書も「氵」を〈正〉とし、「冫」を〈俗〉とする。九経字様では説文篆文に従って「冫」の字体を載せている。我が国では「冫」に従った字体が標準。
【凌】説文篆文には或体があり、現在も字体は或体の系統。通用体では旁を「麦」とすることが多く、文部省の漢字整理案でもこの字体が検討されたことがあった。偏を、誤って「氵」にすることがあるが、「凌」と「淩」は別字。
【凉】「涼」の異体字。説文篆文では偏が「水」で、干禄字書は「涼」を〈正〉とし、「冫+亰」を〈俗〉としている。五経文字に「冫は訛」とある。中国では「氵」が書かれていたが、唐代末以降は「冫」が多くなる。弘道軒の「涼」は「凉」よりも出来が悪い。文部省活字に「凉」「涼」の両方がある。漱石も太宰も手書き原稿では「凉」を書いているが、印刷本では「涼」。「京」は「亰」と書かれることが多い。「亠」を「𠂉」とするのは草書の影響か。現代中国では「凉」に統一。
【凛・凜】旁の下部は「示」か「禾」か。基本的に正字体を示す説文解字、五経文字、康煕字典、文部省活字のうち、康煕字典だけが「示」を採用。現代中国は康煕字典の字体に統合されている。説文篆文は「冫」でなく「疒」。
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック