2011年12月18日

字体変遷字典 【凵】凶凹出凸函【刀】刀刃


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【凹】ほとんどの書道字典には不掲載だが、唯一『五體字類』第三版に「懐素」が掲載されている。
【出】「山」が2つと解する字体は南北朝期に出現するが、この字体は九経字様では「訛」としている。『陸軍幼年学校用字便覧』では「山」の下に「々」を配する字体が掲載されているが、実際の使用例は未見。「山」の下に点を2つ書く例は近世の文書に使用例がある。
【凸】ほとんどの書道字典には不掲載だが、唯一『五體字類』第三版に「宋人」の書として1例掲載されているが、出典が確定できないので本書には載せなかった。
【函】説文篆文には2種の字体がある。1つは「マ+囗+¥」、もう1つは「肉+今」の字体。「マ+囗+¥」と「函」は字体が一致しない。白川静説では「マ+囗+¥」と「函」は元々は別字で、発音が同じために混用されたとする。「肉+今」に合致する字はみつけられない。日本の人名用漢字の字体は康煕字典に由来し、現代中国の字体は唐代の楷書に由来するようだ。
posted by トナン at 15:53| Comment(2) | TrackBack(0) | 字体変遷字典(大熊肇試作) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ブログいつも楽しく拝見させていただいています。


私は戦前の漢字教育を受けた身であり、現行の略字(新字体)についてなど、文字について興味があります。そういうこともあり書道を教えてたりするのですが、文字(書写体、現行の略字の由来等)についてまだまだ知らない事が多く、トナンさんのブログは分かりやすく勉強になります。
教育漢字のお考えや、字体変遷字典、大正時代の許容体案、さらに特定の文字に視点をあてての解説など、調べてもなかなかわからない事が書かれておりとても勉強になっております。
齋の略字の斎は、草書由来でもなさそうだしどういう経緯でできた字なのかと思っておりましたが、江戸時代から使われていた略字だと知ったときは頭がすっきりしました(圖や畫の略字のように江戸時代ごろにはすでに使われていた略字は結構あるようですね)。


ところでブログ内で字体変遷字典を掲載しておりますが、これは一般に本として売っているのでしょうか?
Posted by 英昭 at 2011年12月22日 10:13
英昭さま。
コメントありがとうございます。
『字体変遷字典』は売っていません。
作っている途中経過をこのブログに掲載しています。
部首順に作っており、まだやっと2画の「刀」に入ったところです。
Posted by 圖南・大熊肇 at 2011年12月22日 11:30
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