2011年12月26日

ボクの名前は「肇」でいいですよ


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ボクの名刺はこんなのなんですが、これを見て郵便に一所懸命「」と書いて送ってくださる方がいらっしゃいます。
ごめんなさい。ふつうに「肇」でいいです。

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金文にはもともと「肇」「肈」の両方の系統があるようです。
金文には「聿」のないものや「攴」や「戈」のないものもあります。
説文解字には「攴」部に「肇」が、「戈」部に「肈」が載っています。
康煕字典では「聿」部に「肇」「肈」の両方がまとめられています。
「攴」は隷変で「攵」になる。「攵」はさらに(誤って?)略されて「又」になることがあります。また、「戸」を「石」のように書くこともあります。
干禄字書も五経文字も「肈」を〈正〉としています。
干禄字書は上部を「石+又」としたものを〈通〉としています。
五経文字は「肇」を〈訛〉としています。

以上をまとめると
1)金文〜隷書までは「肇」「肈」の両方の字体が共存していた。
2)南北朝期〜清まで「肈」が優勢。
3)唐代の正字は「肈」を正字とした。
4)康煕字典では「肇」が親字で「肈」を同字として「聿」部にまとめられている。
5)日本では使用例がほとんどなく、明治以降「肇」の字体が使われる。これは日本書紀に「肇國」という語があるためらしい。

ここまで書いたところでHNGに「肇」の使用例を発見(『教行信証』)。

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posted by トナン at 14:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 文字あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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