2007年01月08日
筆脈から見た築地初号の「と」
築地活版製造所の「と」は、一筆で書かれたものと3つのパーツに分かれたものがある。
ところで「と」は「止」からつくられた平仮名なのだが、平仮名の「と」は「止」の草書とは書き順が違う。
3つのパーツに分かれている「と」には、筆脈のつながる出来のいいものと、筆脈のつながらない出来の悪いものがある。
「游築初号かな」、「築地初号仮名」のどちらも筆脈がつながる。つまりオリジナルのうち、出来のいいものを選んだのだ。流石である。
ところがオリジナルの「ど」は、筆脈のつながるものがない。
「游築初号かな」を作った字游工房は、筆脈のつながる出来のいい「と」に濁点をつけた。
「築地初号仮名」を作った印刷史研究会は、出来の悪い「ど」をわざわざ修正せずに覆刻した。
「游築初号かな」の翻刻、「築地初号仮名」の覆刻。両者のスタンスが興味深い。
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