2013年02月12日

『康煕字典』原刻本の版木の疵について

野崎邦臣著『漢字字形の問題点』(天来書院)が届きました。
たいへんな労作です。頭が下がります。

まず驚いたのは、筆者の野崎邦臣さんは、東京大学の東洋文化研究所附属図書館蔵の康煕字典の内府本(東大本)が本当に原刻本かどうか、北京図書館(現在は中国国家図書館)まで行って照合して、間違いなく原刻本だと確認したということです。
その証拠として、刀部の「刳」にある版木の疵をあげています。

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それではわれらが書香文庫・境田稔信さんが蔵する康煕字典はどうなのか?

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書香文庫本

同じように疵がありました。あ〜良かった。

  
posted by トナン at 13:42| Comment(8) | TrackBack(0) | 文字あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
質問です。
 Tohanさんは唐代正字と説文解字を中心に考えていらっしゃいますが?
楷書化された草書についてはどうお考えですか?
 尽なんかは唐代から有るものですよね?
Posted by YoshiCiv at 2014年04月26日 09:28
楷書化された草書は通用字体ってことになるでしょうね。
「尽」は草書では古くから書かれていますが、それがもう一回かたまるのはいつ頃なのかはよくわかりません。
Posted by ( ´_ゝ`) 大熊肇 at 2014年04月26日 14:02
お返事有難うございました
Posted by YoshiCiv at 2014年04月26日 16:31
阿辻哲次氏の 「戦後日本漢字史 (新潮選書)」の間違いをちょっと調べたいと思っているのですが
大熊さんは「文字の骨組み―字体/甲骨文から常用漢字まで」で字体について深く研究されていらっしゃいますよね。もし調べた場合字体研究的に面白いと思いますか?
例:「弁」に4つを統合した戦後漢字は漢字を複雑なものとした戦後史観が(以下略
いやでも空母「武蔵」のバルブ、「瓣」じゃなくて『弁」になってるんですが....
のようなものです
Posted by YoshiCiv at 2015年04月28日 03:22
YoshiCivさん。字体研究的に面白いかどうかはわかりませんが、誤りは正した方が良いとおもいます。
Posted by ( ´_ゝ`) 大熊肇 at 2015年04月28日 04:24
 一つの事例としてグーテンベルクや朝鮮(等の木版印刷)の事例はどうでしょうか。
ウィキペディア情報によれば(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B4%BB%E5%AD%97
初期の活字は写本の復元を目指したそうです。
そして木版印刷の訓民正音(http://jpn.cha.go.kr/japanese/html/sub3/sub1.jspに印刷技術への賛辞)の解例本(http://www.amazon.co.jp/gp/product/458280800X)を見ると行書と明朝体を足して割ったような字体になっています。
これを根拠にお決まりの「印刷自体と手書きは異なるもの」というのに反論できないでしょうか?
Posted by YoshiCiv at 2015年04月28日 17:38
YoshiCivさん。
当方、漢字や仮名についてはいささか調べておりますが、グーテンベルクやましてや訓民正音についてはまったく専門外です。
当方も印刷というより「非手書き」と「手書き」は異なるものだと思っています。
漢字についていえば、金属に鋳込んだり石に彫るものだった字を手書きすることにより、手書きしやすい字体、書体に変わっていった。(隷書)
(手書きの)隷書の行書を石工が石工のスタイル(角を角張らせる)で石碑に彫ることによって、楷書が出来た。
石碑の楷書を手書きでまねることによって、手書きの楷書ができた。
手書きの楷書を木版に彫ることによって、彫りやすい宋朝体や明朝体ができた。
と非手書き―手書きによって新書体や字体ができるものだと考えています。
Posted by ( ´_ゝ`) 大熊肇 at 2015年04月29日 02:11
言葉が足りなかったようで失礼しました。
自分が言いたかったのは印刷字体では「𩙿」等を用い、
手書きでは「飠」(或いは康煕字典体を明朝体風に書いたもの)を使うのが伝統だと言ったナンセンスのことです。
Posted by YoshiCiv at 2015年04月29日 02:43
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