2013年08月06日
「呑」と「吞」
「呑」と「吞」は異体字。説文も、中国や日本の慣用字体もほとんど「吞」を使っているのに、使われていない「呑」がJIS第一水準にある。
使われてきた「吞」はJIS第三水準にある。
なお、人名に使えるのは人名用漢字の「吞」で、「呑」はJIS第一水準ではあるが、常用漢字でも人名用漢字でもないので人名には使えない。
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『明朝体活字字形一覧』の『大漢和辞典』の項を見て驚きました。鉛活字の字ばかりでなく、『大漢和辞典』の字まで「呑」になっているのです。びっくりして、引いてみると、『大漢和辞典』だけはさすがに上部が「天」でした。『明朝体活字字形一覧』にまんまと一杯食わされました。
ヒントは、『明朝体活字字形一覧』につけられた大漢和番号にありました。『明朝体活字字形一覧』所収の『大漢和辞典』の字は、索引巻に載っている俗字だったのでした。
「索引巻」に出ている「呑」は「補遺」に出ている検字番号48970の字です。
この「補遺」には『大漢和辞典』本文の親字としては出ていないが、本文中に使われている字を一括して並べてあります。【呑】の字の下には「ドン 吞(2−3329)の俗字。」とだけ書かれています。
本文の第2巻の【吞】の項に「参考 字形、吞と書くべきを俗に呑に作る」という注記があり、ここに「呑」の字が一箇所だけ使われています。
つまり、『大漢和辞典』は俗字として「呑」が使われている、と書いているのですが、『明朝活字字形一覧』は、活字の字形と同じ俗字のほうを、『大漢和辞典』の字形として採ってしまったのです。