2017年07月11日

紙型はいつ縮むの?

VE110626.jpg
紙型

金属活字を使って本を印刷するときは、活字を組んだ版を厚紙にプレスして型を作ります。
これを紙型(しけい)といいます。
この紙型に鉛を流し込んで版をつくり、その版にインキをつけて印刷します。

売れる本は何度も印刷するのですが、初刷りと17刷りを比べると後者はサイズがかなり小さくなっています。
http://tonan.seesaa.net/article/397491267.html?1499748332

ボクは、最初に作った紙型を何度も使うものだとおもっていました。
ところが、最近聞いた話では、紙型は何度も作るらしいのです。
最初に組んだ組版で紙型を作りその紙型に鉛を流し込んで版を作る。
一度使った紙型は再利用できないので、紙型から作った版から新しい紙型を作る。
そういうことらしいのです。

そうだとしたら、紙型はいつ縮むのでしょうか?
紙型に鉛を流したときか、紙型を保存している間か。

実際に紙型を作っていた方、教えてください。

【追記】2017.07.13
東亰わかめ‏ @10ti3pinさんからの情報
紙型ではなく、ナマリが凝固するときにちぢむときいたことがありますが…


山本太郎さんからの情報
ステロタイプや新聞印刷についての知識は皆無ですが、下記の文献によれば、高温で溶解した金属の温度が低下する際に収縮が起こるので、出来る限り低温で鋳造する必要があると書いてありますね。
https://books.google.co.jp/books?id=ovo8AAAAYAAJ&pg=PA64...


小畠正彌さんからの情報
私は紙型が乾燥するときに縮むと教えられました。


狩野宏樹‏ @KAN0Uさんからの情報
戦前の新聞の紙型について http://www.conpt.jp/bulletin/231.pdf … のp.17に記述があります。型を取る時に紙型用紙を湿らせるので、組版から外して乾燥させる方式の場合、3%近く縮んだそうです。


〈まとめ〉
1)鉛が凝固するときに縮む。
2)紙型には湿式と乾式があり、乾燥するときに縮む。湿式の方がより縮む(3%程度)。
3)鉛が冷めるときに縮む。対処法として、なるべく低い温度で溶かす。

金属活字の鋳造時、鉛は凝固するときに体積が減るので、凝固するときに体積が増える物質(アンチモン)を加えて調節する。それを敷衍すれば、紙型から鉛版を作る際も鉛にアンチモンを加えているとおもわれる。その加減によっては鉛の凝固時も鉛版が縮むだろう。

紙型鉛版を使った印刷では、初版初刷りでも縮小されている可能性がある。

【追記2】2017.07.13

森卓司さんからの情報
新聞の紙型については『新聞整理の研究』(1966年、日本新聞協会)p. 5に、
「扁平活字が最初に現われたのが、昭和十六年。第二次世界大戦はすでに、はじまっていた。用紙は次第に窮屈になったが……ニュースを詰め込むためには、活字は小さくするしかない。……戦争はますますきびしく、用紙はいよいよ窮屈になった。……終戦後はついに用紙不足のため、二十三年、十五字詰め十七段制から、とうとう、二十四年、十五字詰め十八段制となった。これは十七段制の活字で、十八段に組み、中段も半カクや七分五厘に縮め、そのうえ、湿気を含んだ紙型を使い、その乾燥段階で一挙に一段分を圧縮するという非常手段さえとられた。……」
とあります。これだと3%どころではないのではないかと思いますが、ほんとうに非常手段ですね。


誌面を圧縮するためにわざわざ湿式紙型を縮小させたとは! 荒技ですね。

【追記3】2017.07.14
狩野宏樹‏ @KAN0U さんからの情報
別の資料https://www.jstage.jst.go.jp/article/nig1987/38/5/38_5_309/_pdf …では「『紙型』から『鉛版』を鋳造する過程で溶けた鉛の熱で『紙型』が乾燥して(焦げて)収縮する.その収縮率は,天地方向で約3%(15mm)左右方向で1.5%(5mm)程度であった.さらに『鉛版』が冷える時にわずかではあるが収縮…

乾式紙型でも使う時には必ず湿らせるようです。長谷川勝三郎『紙型用紙並に新聞用紙に就いて』)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jtappij1947/4/5/4_5_23/_pdf … では「或いは嚴密に言えばセミドライマットとでも云うべきものでありましょう。」とツッコミを入れています。

「一つの組版を數十回も紙型にとる事がある」新聞社に限った事ではないようで、例えば山岡謹七『改訂造本と印刷』でも「ドライマットとゆう紙型どり專用の特殊な厚紙に多少の水氣をあたえて,これを組版の上にのせ,油圧機の中に入れて圧搾し,同時に加熱(攝氏150°〜180°)させて紙型にとる」

(中略)「この方法すなはち圧搾法によると,程度の差こそあれ多少の活字のいたみはまぬがれないので,それらの活字はとうてい再度のおつとめはできないのである。」また、図のキャプションによると「こうしてとった1枚のドライマットから,5版か10版の鉛版を鑄造することができる。」とのこと。


〈まとめ〉
1)鉛が凝固するときに縮む。
2)紙型には湿式と乾式があり、乾燥するときに縮む。湿式の方がより縮む(3%程度)。
3)鉛が冷めるときに縮む。対処法として、なるべく低い温度で溶かす。
4)鉛の熱で『紙型』が乾燥して(焦げて)収縮する。
posted by トナン at 13:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 文字あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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