2007年07月09日

Futura(フーツラ)はユダヤ企業に嫌われている?

「フーツラは、ナチスが広告に使っていた書体なので、ユダヤ企業の仕事には使うな」
こんなうわさがあります。

うわさだけではなくて、書籍にも載っています。

深沢英次&インプレス編集部編『True Type フォント パーフェクト コレクション』インプレス 1999年10月1日 初版発行 の145ページに、
「フーツラという書体はバウハウスの影響を受けたデザインで、ドイツをイメージさせるといわれています。ユダヤ系の人たちが公用文書にフーツラを使うことがないのは、やはり1920年代の後半に生まれたこの書体が、ファシズムの時代を連想させてしまうからのようです。」
とあります。

片塩二郎『イワンとヤン ふたりのチヒョルト』朗文堂 2000年6月26日発行 の346ページに、
「パウル・レンナーもまた、ナチの手に苦しんだ人でした。チヒョルトと同様に、ミュンヘンの教職を意味もない理由によって剥奪されています。またその代表作のフトゥーラ活字は、ナチの教育・宣伝に縦横に駆使されたために、その使用にはいまなおためらいがみられるのがドイツの実情です。このつらい経験がもたらした精神的な荒廃は、いまだにレンナー家をくるしめています」
とあります。

片塩さんは、海外に出かけてデザイナーたちにインタビュー取材している人ですから、影響力が強いのです。

というわけで、ボクもフーツラの使用を自粛していました。
ところが『デザインの現場』2004年10月号の小林章さんの「タイプディレクターが答える欧文書体Q&A」に
「Q2: Futuraはナチスを連想させるため、ドイツやイスラエルでは使わないと聞きましたが、本当ですか?」
という質問について「そんなことがない」ことが詳しく載っています。それ以来安心して使っています。

その小林章さんが「ここにも Futura」というブログをはじめました。
http://kokofutura.exblog.jp/

『デザインの現場』で質問をした宮里文崇さんのブログです。
http://fmstudio.jpn.org/blog/050601.html
posted by トナン at 07:42| 埼玉 🌁| Comment(11) | TrackBack(0) | 文字あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この件に関して調べている者です。
どういう訳かFutura=ナチスイメージを信じこませてしまうような具体的なエピソードがいくつも日本には存在しています。
今、詳しく調べてますが、それらのエピソードで実際に事実としてあったと検証できるものは出てきていません。いずれも眉唾な話のようです。
この話を海外のデザイナーにすると、目をむいてびっくりされてしまいます。なんだそりゃって言う感じです。
ただ、この話をクライアント側が本気で信じてしまい、Futura案のロゴを拒否されたという実際の話もあります。困ったことです。
Posted by fukamidori at 2007年07月13日 20:39
1999年10月から2004年10月までの4年間、フーツラを使わずにいました。
ばかばかしいことです。
Posted by トナン at 2007年07月14日 02:37
どもはじめまして。別件で検索していたら、たまたまここにたどり着きました。深沢英次です。

このフーツラの件は、昨年(2007年)、fukamidoriさんや小林章さんからもご連絡をいただきましたが、私はモリサワの「たて組ヨコ組」47号(1996年)に掲載されていた府川充男さんの発言を下敷きにしています。

それを読んだ後で府川さんと片塩さんにお会いしたとき、直接確認をしてから、上の文章を書いたのですが、やはり小林章さんらのご指摘が正しいと思い、現在発売中の「パーフェクトコレクション」では該当部分の解説を削除し、お詫びを入れてあります。

フォントの奥深さを感じてもらえるエピソードだと思って書いたのですが、私の書いた文章で多くの人を惑わせてしまったみたいですね。申し訳なく思っています。すみませんでした。
Posted by 深沢英次 at 2008年07月15日 13:50
深沢さま、コメントありがとうございます。

え〜っ! 噂の元は府川さんなんですか?
「たて組ヨコ組」47号、みつかりません。どこにしまっちゃったんだろう。
Posted by 大熊肇(tonan) at 2008年07月15日 15:00
「たて組ヨコ組」47号Y2-Y10掲載の座談会「DTPと組版をめぐって」(鈴木一誌、府川充男、冨田信雄)の中で、府川さんが、片塩氏の話としてその件を紹介されてゐます。Y8の府川発言に曰く:
「書体というのは、歴史や社会集団の記憶を背負っているわけです。であれば、確かに未来に向けて「今」という時代が反映されてもいい。私もそれを否定するわけではありませんし決してありません。しかし怖いのは、日本人の場合は文字というものに血がこびりついていたりするということ体験を持っていない。朗文堂の片塩二朗さんにうかがった話ですが、日本のあるメーカーがイスラエルにマシンを納品したら、マニュアルからプレートに至るまで、すべての書体がフーツラで、大問題になったことがあると。フーツラがナチスドイツの記憶を想起させるということなんですね。すべての書体は時代を背負うし、したがってときには国家権力の影をすら背負ってしまう。ユニバースといったらオランダ、ヘルベチカといえばスイス。スイスの国家プロジェクトでユニバースを効用書体として使うなんてことは考えられない。そうした認識を抜きにタイポグラフィが成立するとは思いたくないんです。」
府川さんの発言といふか、府川さんが紹介した片塩さんのネタ。
Posted by ウチダアキラ at 2008年07月16日 23:34
ウチダアキラさま、コメントありがとうございます。

やっぱり噂の元は片塩さんか。
この話がそのまま
http://tonan.seesaa.net/article/81938574.html
に流用されているんですね。
Posted by 大熊肇(トナン) at 2008年07月17日 04:24
この件に関して、「Futuraの噂話を検証する」と題して、これまで調べた内容を『d/sign』誌に投稿しました。本日7/18発売です。
私が調べた限りこのビデオデッキの件は検証できませんでした。
私なりにこの噂話がどのように発生したかを推測した部分もありますので、興味のある方はご覧ください。
Posted by fukamidori at 2008年07月18日 01:13
fukamidoriさん
さっそくながらd/signを読みました。
元々ナチスはバウハウスを始めとする当時前衛的な傾向にあったデザイナーを嫌っていたと聞いていましたので、長い間例の噂に関しては疑問に思っておりました。その疑問が完全に晴れ、Futuraとパウル・レンナーが可哀想に思えて来ました。検証の記事をありがとうございました。
Posted by shintaromaeda at 2008年11月17日 15:30
shintaromaedaさん、コメントありがとうございます。
fukamidoriさん、僕も記事読みましたよ。
Posted by 大熊肇 at 2008年11月17日 16:58
トナンさんお久しぶりです。
ブログ「ここにも Futura」の更新をしばらくしていませんでしたが、新しい話題を掲載しました。ご覧ください。最近ヘルマン・ツァップさんのご自宅で書体制作をすることが増えましたが、ツァップさんの家に取り付けられているナンバーが Futura だったということも書きました。
http://kokoFutura.exblog.jp/10155283/

また、Univers がオランダのイメージだからスイスで使わないとか、そういう噂や思い込みについてもちょっと待った ! です。
スイス最大の私鉄が使ってたり、ベルン市の役所が使ってたりしますよ。よければこちらもどうぞ。
http://akobayashi.exblog.jp/i5/
Posted by 小林 章 at 2009年01月18日 23:40
小林さん、コメントありがとうございます。
小林さんのブログはアンテナに登録してチェックしています。
Posted by トナン at 2009年01月19日 02:40
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/47184424
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック