2020年09月03日
字体変遷字典 【己】巴巻巷巽【巾】巾
【己・巳・已】「己・巳・已」はまったく異なる字種だが手書きにすると混同する。冒険家の植村直己さんやグラフィックデザイナーの浅葉克己さんなど「己」を「ミ」と読む人もいる。「已」は「イ」という音を持ち「㠯・以」と関係がある字らしい。「㠯」と「以」は異体字であり、農具の鍬の一種の象形らしい。筆者は「㠯・以・已」を次のように推測する。「㠯」は鍬の歯を下向きにして正面から見た形。「以」は鍬を歯を左にして横から見た形で、右の「人」の部分は人ではなく鍬の柄ではないだろうか。「已」は鍬の歯を上にして正面から見た形で作業の終わりを意味し、そのために「すでに・のみ・やむ」という意味をもつと考える。漱石は「已」を「已を得ん」という使い方をしている。
【巻】説文解字、五経文字、康煕字典共に「卩」に分類されている。「弓」に点を打ったような異体字は来歴不明。
【巷】2004年のJISの例示字体変更前は「巷」でした。
【巽】説文に4つの字体が掲載されており、そのうち3つは「巽也」とあるが。1つだけ「具也」とされている。段注によれば「具」が本義であり「巽」は仮借としている。弘道軒の四号と三号の字体が異なる。
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