Amnesty北京オリンピックキャンペーン
最高の思い出は人権の金メダル
デザイン:大熊肇
http://www.amnesty.or.jp/
以下、リーフレットのテキストから
中国の選択は?
「オリンピックが中国の人権を改善すると確信しています」
(2002年4月24日、BBCインタビューでのジャック・ロゲIOC会長の発言)
北京でのオリンピック開催が決定したとき、中国は、人権の発展のためにオリンピックは良い機会となり、中国は人権により注意を払うと公言しました。国際オリンピック委員会(IOC)も、北京オリンピックによって中国の人権状況が改善されることを期待すると、発言してきました。
しかし、オリンピック開催が近づくにつれて、その公約はかすれつつあります。
北京オリンピックで何を遺せるのか……。
競技の記録やメダルの数だけでなく、人権への公約が果たされたとき、北京オリンピックは最高の思い出として記憶に残るでしょう。
死刑……世界一の死刑執行国
中国では、強盗や殺人といった犯罪の他に、脱税や横領といった経済や麻薬に関する犯罪など、68の罪に死刑が適用されています。
地域によって死刑の適用基準が違うため、死刑判決が恣意的になる場合があることを、中国政府は最近になって認めました。
国連の専門家は2006年、中国の死刑囚が「手錠とおよそ3キロもの足鎖を、24時間いかなる時でもつけて」おり、このような取り扱いは、「非常な苦痛を与え、拷問に等しい」として廃止を勧告しました。
河北省石家荘で聶樹斌さんは、地元の女性を強姦、殺害したとして、1995年に死刑にされました。彼は警察に拘禁されていた間、繰り返し拷問を受けていました。
ところが2005年初め、別件で逮捕された容疑者がこの犯罪について自白しました。司法当局が捜査の誤りを認めたため、聶樹斌さんの家族は当局に損害賠償を求めています。
●死刑が適用される犯罪を減らしてください。
●死刑に関する公式統計を公表してください。
●死刑囚と家族・弁護士の面会を許可し、死刑囚の情報を提供してください。
オリンピック治安対策は「労働を通しての再教育」?
労働教養は、刑法で罰するほど深刻ではないとされる軽微な犯罪に対する処罰方法として、施設に収容して被収容者を「矯正させる」方法です。軽犯罪の他に、政府批判や禁止されている宗教を信仰することも対象とされています。
中国全土で、数十万人が労働教養施設に収容されていると言われており、収容期間は1年から最長で4年。警察が収容やその期間を決定し、司法による審理はありません。
卜東偉さんは、法輪功の活動をしたために「国法に逆らい、社会秩序を乱した」として、2006年6月19日に裁判なしで「労働教養」を2年半、科されました。
卜東偉さんは、以前にも10カ月間、「労働教養所」に収容されたことがありました。この期間に、法輪功への信仰を放棄させる目的で、一日中小さな椅子に座らせる、殴る、眠らせないなどの拷問や虐待が行われたといわれています。
●公正な裁判を受ける権利を保障し、裁判なしの懲罰的拘禁を止めてください。
●「労働を通しての再教育(労働教養)」を廃止してください。
●北京オリンピック開催を前に、北京市内の「浄化」のために労働教養を採用することを禁止してください。
「完全な報道の自由」への遠い道のり
オリンピックを前に、中国当局は「報道の自由」への規制を強めています。2007年1月、外国人ジャーナリストに対する取材規制が緩和されました。その一方で、海外通信社からのニュースを国内で報道することについて、規制が強化されました。また、司法の汚職や人権擁護キャンペーンなど20の話題について放映が禁止されました。
インターネットへの規制もますます強化されています。たとえば、ジャーナリストであり詩人でもある師濤さんは、米国系インターネット企業Yahoo!(ヤフー)のメールアカウントを使って、2004年4月に米国へ電子メールを送信しました。Yahoo! は師濤さんの個人情報を中国当局に提供し、その結果、師濤さんのメールは当局の検閲を受け「海外に国家機密を不法に提供した」という理由で逮捕されました。その後、師濤さんは弁護士不在の裁判によって有罪判決を受け、10年の禁固刑に服しています。
●すべてのジャーナリストに報道の自由を保障してください。
●いかなる人も、インターネットを合法的に使用しただけで逮捕されたり裁判にかけられたりしないように保障してください。
●平和的にインターネットを利用して拘禁されているすべての人を釈放してください。
人権擁護活動家への弾圧
中国当局は、国内の人権状況の改善や民主化を平和的な手段で訴えている活動家を恣意的に拘束し、拘禁し、あるいは24時間の監視下に置くなど、厳しく締めつけています。中には、「オリンピックではなく、人権がほしい」という署名を集めて警察に逮捕され、「国家転覆」の容疑で拷問を受けている活動家もいます。
中国は、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(ICCPR*)に署名はしていますが、まだ批准していません。
2003年、葉国柱さん一家は、経営するレストランや住宅を取り壊されました。新居の手当てや補償金もなく、財産も押収され、葉さん一家は帰る場所を失いました。葉さんは、オリンピック関連建設事業に伴う強制立ち退き問題をアピールするために、デモの許可を北京市当局に求めようとしました。しかし後に拘束され、拷問を受けました。2004年12月に4年の禁固刑を言い渡され、今も収監されています。
●人権擁護活動家が平和的に活動することを尊重してください。
●現在拘禁されている、あるいは自宅軟禁下にある人権擁護活動家を釈放してください。
2008年03月17日
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