2008年04月05日

組版原論―タイポグラフィと活字・写植・DTP

府川充男著。1996年に出版された伝説的な本。
著者によれば、
『組版原論』はそもそも『聚珍録』の「販促用パンフレットとして急遽制作されたものにすぎなかった」という。ところが販促すべき『聚珍録』が大幅に遅延したために、『組版原論』は一人歩きしてしまった。
のだという。
ここでカミングアウトするのだが、僕はクオーク・エクスプレスで、欧文と同じようにテキストボックスを作り、ジャスティファイされて字間が空くのをわずかにトラッキングをかけて詰める、ということをしていた。この本を読むまでクオーク・エクスプレスでベタ組みができなかった。テキストボックスの行長を文字サイズの整数倍にする、ということに気づかなかったのだ。
『組版原論』には組み見本に
莫迦な編輯者や無智なデザイナーと仕事をするくらいなら昼寝をしていた方がよい
という例文があるが、文字通り僕は「無智なデザイナー」だったのだ。この例文に反発する人もかなりいただろう。それもあってかこの本は「現象」にまでなった。当時、ネットで知り合った同業者と待ち合わせて「文字と組版を考える会」に行ったのだが、顔を知らない。そうしたら待ち合わせの相手が「じゃあ目印に『組版原論』を持ってます」って……そんな風だった。
この本が品切れになって久しいが、売れた本なので古書で簡単に手に入る。ただし価格は定価の3倍から4倍だが。まだ読んでいない人は図書館で借りてでも読んで欲しい。

posted by トナン at 17:55| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめの本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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