「吉」とちがって「天」は、「うちの『天』は上が長い」とか「うちの『天』は上が短い」なんていう話はきかない。
同じ字種だということを認識しているのだろう。
白川静によれば、「天」は大きな頭をもった人間を正面から見た象形だという。
もともとは頭を意味する字だったものが、人間のいちぱんてっぺんにある頭から派生して、天を意味するようになった。
『説文解字』の例示字体は、頭が短い横線になっている。
隷書では、上の線が短いものあり、同じくらいのものあり、長いものあり、色々である。
楷書では上の線が短いものが多いが、長いものもある。
同じ書き手が両方書いているのが興味深い。
「天」には正字と通字の区別はなく、『干禄字書』にも載っていない。
1935年の「文部省活字」では、上の線が短い。
1949年の「当用漢字字体表」では、上の線が長い。
1977年の写研の教科書体では、上の線が長い。
これは、「当用漢字字体表」の影響だとおもわれる。
『康煕字典』を含め、印刷用の字体は上の線が長い。
2005年11月18日
この記事へのコメント
三省堂の字体辞典によると、天皇が「天」と書くときは真ん中の線が長かつたさうです。聚珍録にも同じ話が出たやうに覚えてゐますがどこにあつたか。
Posted by kzhr at 2005年11月26日 00:35
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中国からの招待状。の、天。
Excerpt: なにやら大陸から招待状が来ました。たくさん。 麗雅宋(?)&ロゴ。やっぱり綺麗ですなこれ。配色も佳し。 不明。ゴシック体。黒体というのか。簡体字でバランスが良いようにできていますね..
Weblog: FeZn/Bookmark
Tracked: 2006-03-19 01:30