同じ字種だということを認識しているのだろう。

白川静によれば、「天」は大きな頭をもった人間を正面から見た象形だという。
もともとは頭を意味する字だったものが、人間のいちぱんてっぺんにある頭から派生して、天を意味するようになった。
『説文解字』の例示字体は、頭が短い横線になっている。

隷書では、上の線が短いものあり、同じくらいのものあり、長いものあり、色々である。

楷書では上の線が短いものが多いが、長いものもある。
同じ書き手が両方書いているのが興味深い。
「天」には正字と通字の区別はなく、『干禄字書』にも載っていない。

1935年の「文部省活字」では、上の線が短い。

1949年の「当用漢字字体表」では、上の線が長い。

1977年の写研の教科書体では、上の線が長い。
これは、「当用漢字字体表」の影響だとおもわれる。

『康煕字典』を含め、印刷用の字体は上の線が長い。