
説文解字の字体は、甲骨、金文、戦国古璽などにみつからない。
熹平石経ではすでに一部省略されている。
九経字様には説文の字体のものと、一部省略された熹平石経の字体のものの両方がある。
康煕字典には説文から一部省略された熹平石経の字体のものと、伝統的筆記体の両方がある。
文字によっては正字体にひっぱられる文部省活字も、この字種については伝統的筆記体を採用している。
正字は為政者が正当と認めた文字であって、正しい文字、という意味ではない。正当の根拠は説文解字である。
現在の当用漢字、常用漢字も為政者が認めた文字だが、正当の根拠がない。
当用漢字字体表の字体が伝統的筆記体とすべて一致するわけではない。この字種については一致しているだけである。



今は「正当の根拠として説文解字が必要」ということにしています。
これは一般的な定義ではなく、僕の個人的な意見ですが。
今日の甲骨学の成果からは、すでに説文解字は半分以上間違いが指摘されています。一般に甲骨学の論文では説文は補助資料の扱いしかされていません。だからといって説文の価値がなくなる訳では決してありませんが、正当の根拠とまでするのは大変疑問です。
なお、個人的には「正字」とは所詮相対的な価値観に過ぎないので、史料としてはともかく自分の言葉としては使わないことにしています。
共時的・通時的に正しいと「された」字はあるでしょうが、普遍的・絶対的に正しい字などは存在し得ないでしょう。
説文解字には間違いがたくさんあるようです。
始皇帝の泰山刻石とも一致しない字があるのですからあきれちゃいます。
本音をいいますと、この表の右側に当用漢字字体表を入れたくなかったのです。それで作った理屈が「説文解字を根拠とする」です。官僚の答弁みたいですね。まずかったらいつでも取り下げる柔軟な考えです。
〈正しい〉字ではないから〈正当な〉字と言ってます。
間違いを根拠にしているのだから、正字は〈正しい字体ではない〉ということです。
〈正しい字体ではない〉けれど、為政者が〈正当と認めた〉。その根拠が今となっては〈正しくない〉ものだったわけですが、当時の為政者やその取り巻きの学者は正しいと思っていたのでしょう。
他にいろいろ根拠を探したけど他になかったんでしょうね。
康煕字典は説文解字だけでなく、他の字書もいろいろ参考にしているようですが、基本は説文解字ですよね。
いろいろなものを見ているせいか、唐代の正字と一致しない字もあります。
詳細はあと5年ぐらいかけて調べられればと思っています。
大熊さんの話では、用語の命名にしても分類にしても、恣意的に過ぎるやうに思はれます。大體、「文部省活字」を「筆記体」の系統と言つてをられますが、これ、相當無理があるのではないですか。
たしかにそうですね。
今後に反映させていただきます。
ところでこの字のデータってどこから持って来ているのでしょう。私も欲しい w
15種類ほどの字典から一字一字スキャンしてます。