2024年03月30日

字体変遷字典362―371

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【掃】説文には不録で、篆書では「埽」を使う。干禄字書では、「掃」を〈通〉、「埽」を〈正〉とし、異体字の扱いにしている。
【捻】2010年(平成22年)に常用漢字表に追加された。


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【揃】JIS2004で例示字形が改定された。改定前の字形は「揃」。


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【搭】1981年(昭和56年)に当用漢字表外から常用漢字表に追加された。
【携】『教育上より見たる明治の漢字』では「攜」を親字として「携」と「擕」を異体字としている。『陸軍幼年学校用字便覧』では「携」を親字として、「擕」を同字、「攜」を本字としている。
【搾】中国では木偏の「榨」を使う。ほとんど使われた形跡のない字。いつできた字なのだろう。


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【搬】説文解字では「搫」の字体で「搫護不正也(搫護とは正しくない意である)」とあり、現在の「搬」とは意味が異なるので、別字種とするべきかもしれないが、参考のために掲載した。
【摸】「摹」とは部品の位置が変わる動用字(移構)の関係にあり、意味も同じだが、漢和辞典や康煕字典では別字として掲載しており、書道字典では異体字として掲載している。
【摺】JIS2004で例示字形が「摺」から変更された。
【摘】「擿」を異体字として扱っている字典もあるので、参考として掲載する。


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【摯】2010年(平成22年)に常用漢字表に追加された。
【撰】JIS2004で例示字体が「撰」から「撰」に変更された。
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2024年03月02日

字体変遷字典036

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【抹】1981年(昭和56年)に当用漢字表外から常用漢字表に追加された。
【拉】2010年(平成22年)に常用漢字表に追加された。『教育上より見たる明治の漢字』に「拉」の字形が掲載されているが、「拉」の字種としてではなく「将」の異体字(許容字)としての掲載。
【挙】説文解字、五経文字には手部に掲載されているが、康熙字典には臼部に掲載されている。
【挟】1981年(昭和56年)に当用漢字表外から常用漢字表に追加された。
【拳】2010年(平成22年)に常用漢字表に追加された。

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【拶】2010年(平成22年)に常用漢字表に追加された。
【拭】2010年(平成22年)に常用漢字表に追加された。
【挑】1981年(昭和56年)に当用漢字表外から常用漢字表に追加された。
【挨】2010年(平成22年)に人名用漢字から常用漢字表に追加された。
【挫】2010年(平成22年)に常用漢字表に追加された。

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【挿】1981年(昭和56年)に当用漢字表外から常用漢字表に追加された。
【捉】2010年(平成22年)に常用漢字表に追加された。

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【掛】中国では「掛」は使わず「挂」を使うようだ。日本でも「挂」を使っていたが、江戸時代からは「掛」が使われ始める。干禄字書では「掛」を俗、「挂」を正としている。漱石は「卜」ではなく「戈」を書いているが、このような異体字があったのだろうか?
【掘】漱石は「堀」の字体を書いている。
【捲】JIS2004で例示字形が変更、画数も1画減った。
【控】「扌+口」の異体字があったらしい。
【採】現代中国では「採」を使わず「采」を使う。干禄字書は「採」を通、「采」を正としている。「采」は2010年(平成22年)に常用漢字表に追加された。「採」「采」共に常用漢字だが、常用漢字表に載っている読みは「採」は「サイ・とる」だが「采」には「サイ」しか載っておらず、「とる」は常用外の読み。

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【据】1981年(昭和56年)に当用漢字表外から常用漢字表に追加された。常用漢字表に音読みが載っていない字。
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2024年01月06日

字体変遷字典 p.342–351

夏目漱石『こころ』の自筆原稿を資料に加えました。

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2023年06月11日

字体変遷字典 【手】抜批扶扮抑押拐拡

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【抜】睡虎地秦簡や説文解字を見ると旁は「友」ではなく「犬」に斜線を1本加えたもののようである。
【批】説文解字に「批」の字体はない。
【扶】「扌」を「丬」とする俗字がある。
【抑】もともとは「扌」のない字体だったらしい。
【拐】当用漢字にはなく、1981年の常用漢字に追加された。
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2023年05月23日

字体変遷字典 【手】抄折択投把

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【抄】『教育上より見たる明治の漢字』では「鈔」を標準字、「抄」を許容字としている。

【折】説文解字に「艸」に従う字体、「手」に従う字体、籀文の3つが掲載されている。古代の字を見ると「手」ではなく「艸」に従っているようだ。長沙子弾庫楚帛書と説文籀文の字体が一致する。

【択】「擇」の新字体。説文解字の大徐本と段注本で例示字体が異なる。漱石は明治39年の『坊っちやん』では「擇」を書き、明治43年の『不折俳画』の序文では「択」を書いている。空海の『聾瞽指歸』には旁に角がある。

【把】昭和21年の当用漢字表にはなく、昭和56年の常用漢字表に加えられた字。
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2023年05月16日

字体変遷字典 【手】打払扱托技抗承

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【払】陸軍幼年学校用字便覧に「實は別字」とある。康煕字典には「払」と「拂」は別字種として掲載されている。「拂」の略字としての「払」と「拂」と別字種の「払」が字体衝突している。

【扱】康煕字典には「手」の4画にあるが、例示字体の画数を数えてみると3画しかない。旁に「及」を持つ字には4画のものと3画のものがあり不統一。康煕字典の字体そのままのものを「康熙字典体」といい、「扱」の「及」を4画にするなど不統一を統一したものを「いわゆる康煕字典体」という。

【托】陸軍幼年学校用字便覧に「託」を正體、「托」を別体として掲載されており、「實は別字」と説明がある。

【技】干禄字書に「伎」が「技」の俗字として載っている。咎なし点が付くことがある。
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2023年05月07日

字体変遷字典 【戸】戻所扇【手】手才


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【戻】1981年3月23日に常用漢字になった字。旧字体は「戾」。説文解字にも康煕字典にも「戾」とは別字種として「戻」があり紛らわしい。つまり「戾」の新字体の「戻」が別字種の「戻」と字体衝突したわけ。中国、台湾、香港はともに下部が「犬」だが、別字種との字体衝突を避けるために日本でも下部を「犬」にしておくべきだったとおもう。漱石は同じ意味で下部が「大」と「犬」の両方の字体を書いておりたいへん興味深い。

【房】居延漢簡は「方」が右にずれて「所」と間違えそうな字形。九成宮醴泉銘は珍しい字体で他にこのような字体は見えない。太宰治は手書きにはめずらしい字体を書いている。

【手】説文解字と五経文字には才部に分類されているが、康煕字典では手部にある。カタカナの「オ」の形に書く場合も多い。
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2023年01月17日

字体変遷字典 【心】憾懇憐懲懸【戈】戊戎

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【憾】説文には不録で篆書では「感」を用いる。

【憐】康熙字典の心部の12画にある。日本の人名用漢字では13画、台湾では12画、香港では13画。

【懸】説文には不録で篆書では「縣」を用いる。

【戊】平安時代の字体は1画少ない。
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2022年11月02日

字体変遷字典 【心】憩憲憧憤憬憶懐

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【憲】通用字体では横線が1本少ないようだ。また縦線を略す俗字がある。

【憧】2010年に常用漢字に追加された字。それ以前は人名用漢字だった。

【憧】2010年に常用漢字に追加された字。
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2022年10月14日

字体変遷字典 【心】慧憎漫憂慾慮

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【憂】郭店楚簡、説文、康煕字典に「夂」のない異体字がある。草書の字体はなぜこうなるのだろうか。
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2022年09月19日

字体変遷字典 【心】愁想惰愉愈慨

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【惰】説文では「憜」の或体。「墮」「堕」を異体字とする字典もある。
【愈】JIS2004改正前は「愈」。「愉」と「愈」は異体字ではないようだ。
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2022年08月07日

字体変遷字典 【心】悼惇悲悶惑惧

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【惇】中国では「敦」を使い、五経文字に「敦同」とある。

【惧】2010年に常用漢字に加えられた。「懼」は異体字。夏目漱石は「危惧」と書き、太宰治は「危懼」と書いている。中国の簡体字は「惧」、繁体字は「懼」。
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2022年02月02日

字体変遷字典 【心】患悟悉悌悩

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【悟】北魏では「忄」の右の点を略すことがある。江戸期は「五」の一画目を略すことがあり、漱石も略した字体を書いている。

【悩】説文には女偏の字が載っている。干禄字書は作りの下部が「山」になっている。漢字整理案では旁の「ツ」の3画目と「凶」の「メ」が連結されている。異体字として「惚」を書くことが多い。
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2022年01月13日

字体変遷字典 【心】息恥恋恣悦

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【恥】「耻」は俗字とされている。どの例も旁は「心」にしては1画足りず、「止」か「止」の草書を書いているように見える。もしかしたら「恥」の方が俗字という可能性はないだろうか。「心」が旁にあるとこのような形になるのだろうか。他に「心」が旁にある例がみつからない。漱石が俗字の「耻」を使っているのにしびれる。
【恋】「戀」は旧字体だが、弘道軒には新字体しかない。
【恣】2010年に常用漢字に追加された字。
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2022年01月11日

字体変遷字典 【心】恐恭恵恒恨恕

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【恵】中国・台湾・香港ともに「惠」の字体で日本のみ「恵」を常用漢字とする。「惠」は日本では人名用漢字でJIS第二水準。弘道軒四号には「恵」しかなく、弘道軒三号には「惠」しかない。
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2021年11月21日

字体変遷字典 【心】怖怜恩悔恢恰

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【怖】説文の或体の字体。
【怜】干禄字書では「怜」を〈俗〉、「憐」を〈正〉とする。中国では「怜」・「憐」は「怜」に統合されている。
【恩】恩の中の「大」は「土」や「工」に変化する。
【恢】Jis2004で例示字体が改定される。改正前は「恢」。
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2021年10月03日

字体変遷字典 【心】快忽忠念怨怪

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【念】手書きでは「今」の下部が「二」になることが多い。
【怪】説文と見比べると異体字が干禄字書の字体になるのは理解できるが、「恠」は1画多いのではないだろうか。干禄字書は「恠」を〈俗〉としている。
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