2022年01月11日

字体変遷字典 【心】恐恭恵恒恨恕

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【恵】中国・台湾・香港ともに「惠」の字体で日本のみ「恵」を常用漢字とする。「惠」は日本では人名用漢字でJIS第二水準。弘道軒四号には「恵」しかなく、弘道軒三号には「惠」しかない。
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2021年11月21日

字体変遷字典 【心】怖怜恩悔恢恰

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【怖】説文の或体の字体。
【怜】干禄字書では「怜」を〈俗〉、「憐」を〈正〉とする。中国では「怜」・「憐」は「怜」に統合されている。
【恩】恩の中の「大」は「土」や「工」に変化する。
【恢】Jis2004で例示字体が改定される。改正前は「恢」。
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2021年10月03日

字体変遷字典 【心】快忽忠念怨怪

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【念】手書きでは「今」の下部が「二」になることが多い。
【怪】説文と見比べると異体字が干禄字書の字体になるのは理解できるが、「恠」は1画多いのではないだろうか。干禄字書は「恠」を〈俗〉としている。
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2021年09月29日

字体変遷字典 【心】忌志忍忘忙

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【志】睡虎地秦簡や郭店楚簡を見ると、上部は「士」ではなく「之」のように見える。隷書では上部は「士」ではなく「土」。明治の漢字では上部が「土」を標準とし、「士」を許容とする。文部省活字は上部が「土」。
【忍】「刃」の点の打ち方が色々ある。
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2021年09月27日

字体変遷字典 【彳】徽【心】心必応

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【徽】通(用)字体と正(統)字体で画数が1画異なる。弘道軒と太宰治は正字体を書いている。説文と康煕字典は「糸」部にあるが、「巾」に従う異体字がある。
【必】説文では「八」部、五経文字では「戈」部、康煕字典では「心」部にある。
【応】「應」の新字体。説文の大徐本には「言」に従う異体字があるが、段注本には掲載されていない。康煕字典には「心」に従う字の他に「疒」に従う字があり、「應」の本字とする。大徐本と同じように「言」に従う字も掲載されている。弘道軒に「応」はあるが「應」はないのは意外。
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2021年09月01日

字体変遷字典 【彳】微徴徳徹

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【微】甲骨、金文では「彳」がない。説文に「彳」がない字体が「人」部に載っている。漢代では「耳」または「月」を含む字体でそれが南北朝期にも残っている。
【徴】康熙字典、当用漢字表は現在の日本よりも1画多い。当用漢字字体表で1画減った。南北朝および唐の楷書は現在の日本と同じように1画少ない字体。
【徳】泰山刻石と説文の字体が異なる。
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2021年08月23日

字体変遷字典 【彳】得御循復

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【御】「止」と「山」はしばしば混同される。
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2021年08月18日

字体変遷字典 【彳】待律従徐徒

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【従】「從」の略体。説文では「从」は「相聴也」、「従」は「随行也」と意味を分けている。「從」の「彳」と「止」を合わせると「辵=辶」となり『異体字辨』に載っている「辶+从」の異体字が出来上がる。説文の大徐が「辶+从」の字体で、段注の字体が「從」の字体。

【徒】説文では「辵」部にある。「徒」の「彳」と「止」を合わせると「辵=辶」となり『異体字辨』に載っている「辶+土」の異体字が出来上がる。説文の大徐が「辶+土」の字体で、段注の字体が「徒」の字体。段注の見出しは「辶+土」の明朝体。
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2021年08月10日

字体変遷字典 【彳】往径征彼後

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【径】「彳」に「止」が付くと「辵」=「辶」になる。それが「逕」である。
【後】「彳」に「止」が付くと「辵」=「辶」になる。それが郭店楚簡、包山楚簡、説文古文、康煕古文の字体である。
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2021年07月20日

字体変遷字典 【弓】彊【彑】当彙【彡】形彦彩

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【彊】干禄字書と五経文字は「強」と「彊」を異体字とする。大徐は「強」と「彊」を別に掲載している。康煕字典は「強」「强」「彊」を別々に掲載している。陸軍幼年学校用字便覧は「彊」を「強」の通用字とする。大徐は「強」の字体だが、秦代、漢代も「强」の字体なのでもしかしたら大徐が誤りなのかもしれない。
【当】「當」の略字。「小」か「田」部に分類されることも多いが、本書では「彑」部に載せた。「當」の「口」と「田」の左の縦線をつなげる字体がよく書かれ、その字体を九経字様では「訛」とする。「当」は遅くとも明治時代には書かれていたようだ。
【彙】2010年に常用漢字に追加された。大徐では入力不能な部に載っている。
【形】五経文字は「形」を載せるが、陸軍幼年学校用字便覧は「形」を本字としている。
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2021年07月14日

字体変遷字典 【弓】弱強張弾弼

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【弱】大徐も五経文字も部首は「彡」。

【強】干禄字書と五経文字は「強」と「彊」を異体字とする。大徐は「彊」を別に掲載している。康煕字典は「強」「强」「彊」を別々に掲載している。陸軍幼年学校用字便覧は「彊」を「強」の通用字とする。大徐は「強」の字体だが、秦代、漢代も「强」の字体なのでもしかしたら大徐が誤りなのかもしれない。

【弼】陸軍幼年学校用字便覧では「白」を「因」としたものを本字としている。
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2021年07月07日

字体変遷字典 【弓】弗弛弟弦弥弧

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【弗】「ドル」はカタカナで書くけど訓読み。

【弦】大徐と武威漢簡は同じ字体。

【弧】日本では「弓」部の6画だが、康煕字典では「弓」部の5画に分類されている。
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2021年07月04日

字体変遷字典 【弋】式弐【弓】弓引弔弘

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【弓】当用漢字表は4画に見えるが、当用漢字字体表では3画で書いている。中国・台湾の明朝体は3画に見えるが、日本・香港の明朝体は4画に見える。

【引】当用漢字字体表を見ると偏を4画で書いているように見え、「弓」の単体と字体が異なる。中国・台湾の明朝体は偏が3画に見えるが、日本・香港の明朝体は偏が4画に見える。

【弔】干禄字書、康煕字典ともに「吊」は「弔」の俗字としている。字体の変遷をみるかぎり、「吊」と「弔」は異体字と見て良いだろう。江戸期は「弔」を「つる」、「とふらひ」、「吊ひ」を「とふらひ」、「とむらひ」と読むなど意味は分かれていない。『陸軍幼年学校用字便覧』(大正3年編纂、昭和13年改訂)は、「吊」を「弔」の許容字体として扱い「實ハ別字」としており、意味は分かれていないと見るべき。太宰は昭和23年発表の『人間失格』で「吊」と「弔」を明確に使い分けている。中国では「吊」と「弔」は「吊」に統合されているようだ。間に草書を介すると「弔」から「吊」ができた過程が理解できる。

【弘】旁を「口」とする異体字がある。
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2021年06月30日

字体変遷字典 【廾】弁弄弊

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【弁】「辨/辧」「辯」「瓣」を統合した字。本来は「辨明/辧明」「辯護」「安全瓣」のように使い分ける。「弁」は冠の名。「辨/辧」は識別する、区別すること。「辯」は論争すること。「瓣」は瓜の中の実。漱石は「勘弁」「辨解」「辨當」、「辯ずる」「辯舌」「辯論」「能辯」「辯護」「能辯」「辯解」と使い分けている。「辨解」と「辯解」を使っているのはどちらかが誤用か。太宰治が『人間失格』を書いたのは当用漢字表で「辨・瓣・辯」が「弁」に統合された2年後だが、手書き原稿に「能辯家」と書いている。

【弄】2010年に常用漢字に追加された字。

【弊】篆書では「獘」を用いる。
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2021年06月26日

字体変遷字典 【廴】延廻建廼【廾】廿

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【延】説文解字での部首は「廴」でも「延」でもなく「㢟」部に分類されている。康熙字典では「廴」部の4画に掲載されている。

【廻】JIS2004の例示字形変更によって、えんにょうに筆抑えがついた。説文には不録で「回」を使う。中国では「回」を使う。

【建】泰山刻石と大徐のえんにょうの形が異なる。えんにょうは、特に北魏では点をつけて書かれたり、しんにょうを書かれたりすることが多い。

【廼】「迺」とは異体字。北魏では「迺」がたくさん書かれている。九経字様にも康煕字典にも「迺」は載っているが「廼」は載っていない。それなのに「廼」がJIS第1水準で、「迺」はJIS第2水準。
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2021年05月24日

字体変遷字典 【广】廊廉廓廠廟【廴】廷

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【廊】康煕字典では广部の10画に載っている。

【廷】北魏楷書では「辶」で書かれることが多い。
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2021年04月29日

字体変遷字典 【广】庵康庶庸廃

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【康】説文解字では禾部に分類されていて、例示字体には禾が付いているがそのような字体は他にみつからない。禾のない「康」は或体になっている。

【庸】説文解字も五経文字も用部に分類されている。
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2021年04月11日

字体変遷字典 【广】店府庖度庫座庭

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【度】説文には「又」に、五経文字では「廿」に、康煕字典には「广」に分類されている。

【座】漱石は「座」と「坐」を混用しており、使い分けの法則性は無いようだ。太宰は「坐って」「歌舞伎座」「銀座」のように使い分けている。
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2021年03月15日

字体変遷字典 【广】庄序床庇庚底

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【庄】「庄」と「荘」は現在の日本では別字として使われているが、現代中国では「荘」も「庄」の区別はなく、どちらも「庄」と書く。『明治の漢字』の「荘」の項に「許容字」として「庄」があり、『陸軍幼年学校用字便覧』には「荘」と「庄」を「實ハ別字」とあるので、日本でも明治から昭和のはじめの頃は通用していたのだろう。

【床】「牀」は異体字。干禄字書では「牀」を〈正〉、「床」を〈俗〉としている。『明治の漢字』では「牀」を標準、「床」を許容字としている。『陸軍幼年学校用字便覧』では「牀」と「床」を同字としている。「牀」も「床」も咎なし点が付くことがある。
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2021年03月04日

字体変遷字典 【幺】幻幼幽幾【广】広庁

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【広】「廣」の略字で、明治時代にはすでに使われていたようだ。「黄」がなぜ「ム」に略されるのか理由がわからない。

【庁】「庁」「廰」は「廳」の略字。江戸期には「厂」で書かれることもあった。現代中国も「厂」の字。
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