字体変遷字典・p.2–15


方針を変更しました。
いままでは、(1)JIS第一水準、(2)JIS第一水準に含まれない常用漢字、(3)JIS第一水準に含まれない人名用漢字を親字にしていましたが、(3)を省くことにしました。
(3)が(1)、(2)の異体字としての重複が多すぎて煩雑なためです。

訂正したpdfを順にアップします。
2-15jitai.pdf
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2015年10月25日

字体変遷字典(【囗】困図固国)


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【困】「くにがまえ」という囲まれた空間の中で「木」に右払いがあるのはおかしい。

【国】「囗」の中に「或」が正字体。南北朝時代に「囗+王」が出現。これは領土の中に王様がいるというような、会意による字だろう。一方、「囗+玉」の「玉」は「或」の草書からできた字だろう。「囗+八方」は則天文字。「或」の「口」は手書きでは「△」や「ム」の形に書かれる。「囗」は二つの点にくずすことがある。
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2015年08月27日

字体変遷字典:【囗】因回団囲


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【因】「囗」の中の「大」は開脚すれば「土」になり、頭を省けば「工」になり、早書きすれば「ユ」になり、さらに「コ」に変化する。日本に伝わった字体は「因」と「囙」。干禄字書では「因」を〈正〉、「囙」を〈俗〉とする。干禄字書では「大」の右払いを止めているが、五経文字では払っている。狭い四角の中で払うというのは、手書きではありえない。教育漢字も払っているが、手書きの字体を教えるのなら再考した方がよい。

【回】江戸版本では「囘」が多く使われている。康煕字典は「囘」を本字としている。明治の漢字も「囘」を本字としている。陸軍幼年学校用字便覧では「回」を正字、「囘」を古字としている。

【団】囗の中に「專」が正字体、「専」が通字体、「寸」は略字体。正字体も楷書と明朝体では字体が異なる。

【囲】正字体「圍」の構成要素「韋」について。単体の漢字としては10画だが、部首では「圍」のように、下部を3画とし、9画の画数に分類される。ところが常用漢字の構成要素になる場合は、「偉」のように下部を4画とし、画数は10画として数える。これが我が国の施策である。康煕字典では一貫して9画に数える。
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2015年08月20日

字体変遷字典:【口】嚴【囗】四囚


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2015年08月13日

『字体変遷字典』【口】嘱噴舗嘲噸噺器


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【嘱】康煕字典に「嘱」と「囑」が別々に載っている。

【舗】説文篆文では偏が「金」なので、「鋪」が正字らしい。康煕字典にも「鋪」しか載っていない。現代中国では偏を「食」の草書体にしている。江戸期以前には「舗」は見えない。
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2015年07月04日

字体変遷字典「嗅嘉嘆噂噛器」


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【嗅】五経文字では「齅」の異体字の扱いになっていて、「齅」を説文、「嗅」を経典の字体としている。漱石は点あり、なし両方の字体を書いている。

【嘉】漢の隷書の時代にはまだどこを伸ばすか一定していない。唐代には横線を伸ばすことに決まったようだ。江戸版本では「士または土+加」の使用例が最も多い。

【嘆】干禄字書では「嘆」を〈俗〉、「歎」を〈正〉とする。九経字様では「嘆」も載っている。陸軍幼年学校用字便覧では「歎」を正字、「嘆」を通用字としている。現代中国では「嘆・嘆」と「歎・歎」は1つに統合されている。

【噂】JIS2004で「噂」から「噂」に例示字体が変更された。また2004年に人名用漢字に追加された。

【器】大きく分けて中央が「犬」「大」「土」「工」「ユ」と5つの字体がある。「大」では意味が通じないという意見もあろうが、犬の象形が「大」となることもある。「大」が水平に開脚すれば「土」になり、「土」の縦線が上に出なければ「工」になり、「工」を早書きすれば「ユ」になる。「土」「工」は漢代にはすでに使われている。もしかしたら生け贄の「犬」の代わりに、呪具の「工」を使う字体があったのかもしれない。

小駒さんのご指摘を生かして下記のように修正しました。
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2015年06月04日

字体変遷字典(單喩嘩嗣嘆)


お久しぶりです。新資料とつきあわせていて時間がかかりました。

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【喩】「諭」と異体字。説文には「諭」しか載っていない。前漢以前には「諭」しか見えないが、南北朝期には「喩」しか見えない。干禄字書では「諭」を正字体、「喩」を通字体としているが、九経字様では「諭」を説文、「喩」を経典としている。なお干禄字書の「諭」の旁の「月」は「ふなづき」。
【嘆】干禄字書では「嘆」を〈俗〉、「歎」を〈正〉とする。康煕字典には「嘆」は見えないが「歎」はある。陸軍幼年学校用字便覧では「歎」を正字、「嘆」を通用字としている。

小駒さんからご指摘をいただき、下記のように訂正しました。(2015.06.12)

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【喩】干禄字書によれば「諭」の通字体で異体字の関係。九経字様では「諭」を説文解字の字体、「喩」を経典の字体としている。説文には「諭」しか載っていない。前漢以前には「諭」しか見えないが、南北朝期には「喩」しか見えない。なお干禄字書の「諭」の旁の「月」は「ふなづき」。
【嘆】干禄字書では「嘆」を〈俗〉、「歎」を〈正〉とする。陸軍幼年学校用字便覧では「歎」を正字、「嘆」を通用字としている。
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2014年08月19日

《字体変遷字典(試作)》【口】善喪喋


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〈訂正版の2刷を販売中です〉

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2014年07月27日

【口】喫喬喰喧喉


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【喫】説文所無。中国での使用例がみつからない。現代中国では「喫」と「吃」が統合されている。
【喬】上部を「右」に作るのが通用字体。王勃詩序ではすでに「右」の書き順が変化している。
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2014年07月22日

【口】唯営喚喜


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最近購入しました。おすすめです。
無い文字は作字してますが、その旨しるしが付いているので安心です。
〈レビューより〉
編者自らの筆に成る約35000の字例はまさに圧巻。
小林斗庵先生の懐刀としての力量をいかんなく発揮している。
何よりも造形のセンス、バランス感覚が超絶している。
簡帛はやや動きに違和感があるものの、文字数の多さに救われる。
篆書・篆刻愛好者必携のバイブルと言えよう。
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2014年07月18日

【口】啓商唱唾問


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【商】干禄字書に「商」の俗として、また五経文字に訛として「啇」が載っているが、「啇」を「テキ」と読む別字として扱っている字書もある。「啇」を「商」として使っている例は日本では空海の風信帖と漱石に見られる。
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2014年05月01日

字体変遷字典[【口】啄哲唐哩哺喝]


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【啄】顔真卿の干禄字書と江戸期の版本の干禄字書で字体が異なる。弘道軒の字体が興味深い。

【哲】金文では多く下部を「口」ではなく「心」に作る。説文に「吉」を3つ書く古文が示されている。

【唐】説文篆文や馬王堆を見る限り本来は「广(まだれ)」の字ではないらしい。

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※修正して差し替えました(2014/05/07)
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2013年10月15日

字体変遷字典:【口】品唖員唄唆哨唇


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【品】江戸期の『大日本永代節用無尽蔵』の書き方は独特。
漱石は下の「口」2つをつなげて書く。太宰治も同じ書き方なのは驚き。
同じものが3つあるときに下の2つを点4つで書くのは一般的。
現在も「澁」の旁を「渋」と書く。かつては「森」などもそのように書いた。

【唇】書道字典には「唇」は不掲載で、かわりに「脣」が載っている。
『説文解字』(大徐本)を見ると「唇」が載っているが、解説に「驚也」とあり、「唇」は「驚く」という意味の別字だったようだ。
『陸軍幼年学校用字便覧』には〈唇ハモトおどろくノ義、今唇ト通用シテくちびるノ義トス。〉とある。
空海は「聾瞽指歸」でにくづきを「肉」の形に書いている。

  
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2013年09月15日

字体変遷字典−【口】咽咳哉咲


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【咽】「大」は人が大の字になった形だが、腕を左右に伸ばし、脚を水平に伸ばせば「土」になる。
「土」が「工」「ユ」「コ」に変化する。

【咲】「咲」と「笑」は異体字。

現代中国では「咲」と「笑」は「笑」に統合されている。

説文篆文には「笑」しかみえないが、十七帖の字体は明らかに「咲」をくずしているので、もしかしたら古文に「咲」に近い字もあったのかもしれない。康煕字典では「咲」を「笑」の古文としている。

顔真卿の書による干禄字書は「竹+大」を〈正〉とし、「咲」を〈通〉としている。
江戸期の官版の干禄字書では〈正〉が「竹+犬」になっている。
五経文字は「竹+犬」になっている。
九経字様では「笑」の字体に訂正している。

江戸期の版本の『大日本永代節用無尽蔵』には「咲」に「わらう」と振り仮名がついている例があり、「笑」と「咲」の使い分けはまだはっきりしていない。
陸軍幼年学校用字便覧では「咲ハ多クさくトイフ時ニ用イラル」とあるから、大正に入った頃には使い分けがあったようだ。

漱石は「竹+大」と「竹+犬」の2種の字体を使っている。
漱石は干禄字書と五経文字の両方を見ていたのだろうか。
漱石の友人の中村不折が干禄字書の拓本を持っていたのはわかっているのだが。
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2013年09月12日

字体変遷字典−【口】呪周味命和哀


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【呪】「咒」は「くちへん」の位置が動いた異体字(動用字)。日本では上代から江戸期まで「咒」の方が優勢。

【周】説文篆文では「冂」の左肩が開いており、五経文字もその字体を採っているが、甲骨、金文を見る限り、左からが開いている必然性はないようだ。
手書きの通用体では「周」が書かれ、康煕字典に倣った活字では「周」が使われるが、弘道軒も文部省活字も「周」。
漱石は「周」を書くが太宰は「周」を書く。
昭和24年の時点で岩田母型製造所に「周」の字体の母型はなかった。

【和】金文を見るかぎり、この字は「禾(のぎへん)」ではなく「木(きへん)」に従う字だったらしい。
説文篆文では「秩vで郭店楚簡の字体と合致するが、他に合致する例がみつからない。
康煕字典では説文篆文の「秩vを古文としている。
「龢」は説文篆文と康煕字典にはあるが、他に使用例がみえない。

【哀】日本では「口」の下に横線が加わる字体が優勢。
また日本では上部が「亠」ではなく「𠂉」になることが多い。

以下、修正して再アップ
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【呪】「咒」は「くちへん」の位置が動いた異体字(動用字)。
日本では上代から江戸期まで「咒」の方が優勢。

【周】説文篆文では「冂」の左肩が開いており、五経文字もその字体を採っているが、甲骨、金文を見る限り、左からが開いている必然性はないようだ。
手書きの通用体では「周」が書かれ、康煕字典に倣った活字では「周」が使われるが、弘道軒も文部省活字も「周」。
漱石は「周」を書くが太宰は「周」を書く。
昭和24年の時点で岩田母型製造所に「周」の字体の母型はなかった。

【和】金文を見るかぎり、この字は「禾(のぎへん)」ではなく「木(きへん)」に従う字だったらしい。
説文篆文では「秩vで郭店楚簡の字体と合致するが、他に合致する例がみつからない。
康煕字典では説文篆文の「秩vを古文としている。

【哀】日本では上部が「亠」ではなく「𠂉」が多い。
また「口」の下に横線が加わる字体が優勢。
そのような字体は中国では北魏および唐代の楷書にある。
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