2013年06月02日

字体変遷字典 (【口】同名吏含吟)


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【名】曹全碑の「夕」は一画多い。

【吟】説文篆文に旁が「金」の或体がある。また偏が「音」に従う字と、「言」に従う字がある。

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2013年05月29日

字体変遷字典 (【口】叫向后合吊吐)


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【叫】手書きでは旁を「刂」に作ることが多い。康煕字典では「口」部の2画にある。現代中国も旁は2画。当用漢字字体表では3画。

【向】上部は「宀」になるはずの字だったようである。

【后】『陸軍幼年学校用事便覧』は「後」の許容字体として掲載され、「實ハ別字」と説明がある。

【吊】干禄字書、康煕字典ともに「吊」は「弔」の俗字としている。『陸軍幼年学校用事便覧』は「實ハ別字」としている。字体の変遷をみるかぎり、「吊」と「弔」は異体字と見て良いだろう。では「吊(つる)」と「弔(とむらう)」という意味はいつ分かれたのか。江戸期は「弔」を「つる」、「とふらひ」、「吊ひ」を「とふらひ」、「とむらひ」と読むなど意味は分かれていない。『陸軍幼年学校用事便覧』(大正3年編纂、昭和13年改訂)では「吊」を「弔」の許容字体として扱っているから、まだ意味は分かれていないと見るべきだろう。太宰は「吊」と「弔」を明確に使い分けている。とすると「吊」と「弔」の意味が分かれたのは、昭和13年から23年の間ということだろうか。現代中国では「吊」と「弔」は「吊」に統合されているようだ。間に草書を介すると「弔」から「吊」ができた過程が理解できる。

(大熊肇試作)


  
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2013年05月21日

字体変遷字典(【口】只叩吋各吉吃吸)


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【叩】説文にない。篆書は「扣」で代用する。

【各】古代は「彳」や「辵」が加わった字体もあったようだ。

【吉】「吉」いわゆる「さむらいよし」と、「𠮷」いわゆる「つちよし」問題。古代はどちらでも良いらしい。説文篆文がたまたま「吉」だったために「吉」が正字になった。漢代の隷書以降は「𠮷(つちよし)」が圧倒的に多い。五経文字は説文篆文にならって「吉」だが親字としての掲載はなく、他の字の説明中にある。日本でも「𠮷(つちよし)」が圧倒的。江戸時代は使用例が少ないが「吉」も現れる。弘道軒には「吉」「𠮷(つちよし)」の両方がある。漱石は「吉」「𠮷(つちよし)」の両方を使っている。太宰は「吉」しか使っておらず、正字や明朝活字の影響を見てとれる。

【吸】康煕字典では「口」部の4画。
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2013年05月04日

字体変遷字典(【口】司史叱召台)


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【司】金文の異体字は、説文になく、康煕字典にある。

【召】干禄字書に〈正〉が2種ある。

【台】「台」と「臺・䑓」とは元々は別字。漱石は「䑓所」、「屋䑓」、「舞䑓」など一貫して「䑓」を用いる。文部省活字に「台」が無いにもかかわらず、太宰は「屋台」など「台」を用いている。
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2013年04月17日

字体変遷字典(【口】可叶句古号)


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【叶】説文篆文にはなく、最も古い使用例は南北朝時代。説文に「協」の或体として「叶」の字体があり、陸軍幼年学校の『用事便覧』に「協」の古字として「叶」の字体が掲載されているがともに「叶」とは別の字種。

【句】「口」が「ム」の形になるため、「勾」の字体になることがある。

【号】「號」の略字ではなく、初文が「号」で後に「虎」を加えたらしい。五経文字の例は最終画が省かれているが、これは誰かの名を避諱したものだろう。たぶん唐の太祖=李虎。漱石は『ぼっちやん』中に8カ所「号/號」を使っている。「号」の使用例は〈第一号〉〈会議の続きだと号して〉〈いの一号に〉が2回、〈六号活字で〉の5回。「號」の使用例は〈屋號〉〈號令を下した〉〈鋭い號令〉の3回。
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2013年03月20日

字体変遷字体(【又】叛叡叢【口】口右)


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【叛】北魏の王僧墓誌では、偏が「米」になっているが、これは「半」の草書を「米」と間違えたのだろう。

【叡】干禄字書に2種、五経文字に2種の正字体がある。

【右】書き順は中国では左払いを先に書くものが圧倒的に多い。ところが日本に伝わったのは横線を先に書く書き順だったようだ。平安中期には左払いを先に書くものと、横線を先に書くものが共存するようになる。江戸期は横線を先に書くものが圧倒的に多くなり、左払いを先に書くものはごく少数になる。現代中国では横線を先に書くそうだ。
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2013年03月08日

字体変遷字典(【又】受叔叙)


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【受】甲骨の上の例が康煕古文に合致するもの。2番目がが郭店楚簡と合致するもの。睡虎地秦簡は「又」の上に「一」があり、この字体は漢代まで受け継がれている。さらにその字体が「丈」に受け継がれているのかもしれない。

【叔】説文篆文に旁が「又」と「寸」の2種ある。五経文字がで〈石経〉となっている字体は、通用字体よりも点が1つ少ない。この字体は拓本版の干禄字書にもある。石が荒れていて〈通〉なのか〈俗〉なのか判然としなが、残った部分は「亻」に見えるのでたぶん〈俗〉なのだろうとおもって江戸版の干禄字書で確認すると〈通〉になっている。五経文字で〈石経〉となっているが、開成石経に使われている字体は「叔」なので、五経文字が示す石経は熹平石経か正始石経のことだろう。

【叙】説文篆文では旁が「攴」だが、甲骨に従えば「又」でも良さそうな気がする。楚帛を見ると「攴」が「攵」になるのが理解できる。「攴」にも縦線が中央のものと左に寄ったものの2種がある。当用漢字表の手書き原稿では「敘」だったが1946年の官報で印刷された字体は「敍」(の縦線が左に寄ったもの)だったが翌年、官報で「敘」に訂正された。「敘」は人名に使えない。
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2013年03月01日

字体変遷字典(【又】友収取)


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【友】1字に2カ所の右払いがある張猛龍碑は例外中の例外。

【収】偏を2画とする字書と3画とする字書がある。康煕字典は2画としている。本書では参考にしている『JIS漢字字典』に倣って3画とした。しかし「収」の異体字の「收」は『JIS漢字字典』でなぜか「攴」の2画になっている。旁は本来は「攴」で、説文篆文はその字体。漢代に「攵」に変化したものが現れ、南北朝期に「又」が出現する。陸軍幼年学校の用字便覧では、旁を「攴」とする字体を本字とする。
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2013年02月18日

『字体変遷字典』−−【又】又叉及双反


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【又】金文には「右」という意味で「又」を用いている例があり、古璽には「有」という意味で「又」を用いている例があるという。
【双】上代にアメカンムリに作る字がある。平安時代に小野道風が屏風土台で2種の字体を使っている。江戸期以降は「雙」よりも「双」の方が隆盛。弘道軒には「双」だけがあり、「雙」がない。

 
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2013年02月11日

字体変遷字典−−これまでのまとめPDF


だいたい10分の1ぐらいが終わったので、最初から見直して修正したものをPDFに書き出しました。
修正点などありましたら、ご指摘くださると幸甚です。

jitai20130211-1.pdf
jitai20130211-2.pdf

2013年01月11日

字体変遷字典 (【厂】原厩厨厭厳)


やっと10分の1ぐらい終わりました。
今までと同じくらいのことをあと9回やれば完成か。
がんばろう。

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【原】古代の文字を見ると旁に角はついていない。角をつけるのは字体の差ではなく、説文の様式の差なのではないだろうか。干禄字書では角ありを〈正〉、角なしを〈俗〉とする。

【厩】この字は元々「广」の字らしい。説文篆文を根拠とすれば五経文字の字体が正字ということになるだろう。文部省活字は干禄字書でいう〈俗〉を採用している。
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2013年01月05日

字体変遷字典 (【卩】卿【厂】厄厚厘)


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【卿】説文篆文に従えば「卿」になるはずだが、そのような字体は五経文字の他にみつからない。漢代から「卿」を書いており、干禄字書も日本の文部省活字もそれに倣っている。康煕字典は「卿」を採用しているが、「即」の字種では「卽」を採用しており、一貫していない。官板 五経文字の〈石経〉とされている字体には「卩」の中に点があるが、これは誤りではないだろうか。『五體字類』(3版)では「卩」の中の点を省いている。

【厄】五経文字の親字ではなく説明にこの字が使われている。

【厘】「厘」「廛」「釐」が同字種の異体字なのか、別字なのか。古代には「厘」にあたる字体は見えない。王羲之が宋搨祖石絳帖で草書の「釐」を書いているが、字体は「厘」のようなので、「釐」の草書から「厘」ができたと考えることもできる。北魏では「廛」の字種に「土+厘」を書いたり、「厘」を書いたりしている。官板干禄字書では「厘」と「廛」を同字種、「釐」は別字としている。康煕字典は「厘」の項に「俗作釐省非」とある。漢字要覧では「物ノ数量ヲ記スル時ニ限リテ、別體ヲ用ヰルモ妨ナシ」とし「厘」は「釐」の異体字の特別な用法とする。明治の漢字もは「厘」を「釐」の許容とする。陸軍幼年学校用事便覧は「實ハ別字」とする。
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2012年12月29日

字体変遷字典 (【卩】卵卷卸卻卽)


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【卵】複数の字典に九経字様の例が載っているが、官版の九経字様には見えない。西安の石碑にはあるのだろうか。

【卷】唐代の正字体と康煕字典の字体が一致しない。現代中国は康煕字典の字体を採用。当用漢字字体表−常用漢字の字体は使用例が少ないようだ。鄭羲下碑、法華義疏、筋切の字体の由来がわからない。

【卸】江戸干禄では、偏を「垂」としたものを〈正〉とし、偏の下部を「山」とするものを〈通〉としているが、五経文字では、「卸」を正字として修正している。漱石は江戸干禄に掲載の2種の字体を書いている。漱石は干禄字書を持っていたのかもしれない。

【卻】「却」は「卻」の異体字で五経文字や康煕字典では俗字とされているがその出現は早く、漢代にまでさかのぼる。文部省活字も俗字を採用している。旁を「阝」と誤ったものも多い。

【卽】「即」は、漢代の隷省/隷変である。康煕字典には「卽今作即」とある。開成石経でもこの字体が使われている。文部省活字もこの字体を採用している。漱石は正字と通字の折衷のような字体を書いている。
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2012年12月24日

字体変遷字典 (【卩】印危却即)


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【印】行書の偏は横線2本を書き「レ」を書くのが一般的な書き順。したがって偏の縦線は下に突き抜けない。一画目は左から右に書く。平安以降は咎なし点をつけることが多い。
【却】「卻」の異体字で五経文字や康煕字典では俗字とされているがその出現は早く、漢代にまでさかのぼる。文部省活字も俗字を採用している。旁を「阝」と誤ったものも多い。
【即】漢代の隷省/隷変である。康煕字典には「卽今作即」とある。開成石経でもこの字体が使われている。文部省活字もこの字体を採用している。漱石は正字と通字の折衷のような字体を書いている。
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2012年12月21日

字体変遷字典(【卜】卜占卦【卩】卯)


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2012年12月19日

字体変遷字典 (【十】単南卑博)


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【卑】金文では「田+攴」だが、説文では「甲+又」になっている。「攴」の上部を「田」と合体させて「甲」にしてしまったのだろう。「甲」に角がついているが、説文では「甲」単体の字にも角がついているので、これは字画ではなく説文の様式なのかもしれない。この角を字画として書いたものは説文以降もなかったが、字画として解釈したものが康煕字典の字体に採用されている。九経字様は「甲+又」としているが甲の下部の縦線をまっすぐに書いている。これは説文篆文と見比べるとおかしな解釈だとおもう。説文篆文を正字の根拠とするなら、正字は常用漢字の「卑」ではなく、人名用漢字の「卑」の方だろう。中国常用も「卑」を採用している。
【博】右上の点はつけないことの方が多いようだ。説文篆文を見ても、どうしても点をつけなければならない字体には見えない。干禄字書の字体を五経文字で訂正している。
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2012年12月17日

字体変遷字典 (【十】協卒卓卑)

人名用漢字の「卑」を追加しました。

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【協】五経文字では「恊」を訛とはせず、「心部亦有恊字與此同並訓和案」としている。
【卒】南北朝期に「卒」から異体字の「卆」ができる過程がよくわかる。
【卓】石門頌では伸ばす線がまだ1本に統一されていない。
【卑】金文では「田+攴」だが、説文では「甲+又」になっている。「攴」の上部を「田」と合体させて「甲」にしてしまったのだろう。「甲」に角がついているが、説文では「甲」単体の字にも角がついているので、これは字画ではなく説文の様式なのかもしれない。この角を字画として書いたものは説文以降もなかったが、字画として解釈したものが康煕字典の字体に採用されている。九経字様は「甲+又」としているが甲の下部の縦線をまっすぐに書いている。これは説文篆文と見比べるとおかしな解釈だとおもう。説文篆文を正字の根拠とするなら、正字は常用漢字の「卑」ではなく、人名用漢字の「卑」の方だろう。中国常用も「卑」を採用している。
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字体変遷字典(【十】協卒卓単)


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【協】五経文字では「恊」を訛とはせず、「心部亦有恊字與此同並訓和案」としている。
【卒】南北朝期に「卒」から異体字の「卆」ができる過程がよくわかる。
【卓】石門頌では伸ばす線がまだ1本に統一されていない。
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2012年12月06日

『字体変遷字典』【十】午升半


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【升】南北朝以降は咎なし点が付くことが多い。逆にいうと隷書には咎なし点は付かない。
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2012年11月29日

【匸】医匿【十】十千


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【医】「醫」の略体が元々は別字だった「医」と字体衝突した。江戸版本では「医」が大多数。干禄字書では「巫」に従う字体を〈通〉としているが、五経文字では〈俗〉としている。太宰治は『人間失格』の直筆原稿中、「醫」を1回、「医」を7回使っている。
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