字体変遷字体・改定版(2-47ページ)

ただいま『字体変遷字典(仮)』を改訂作業中です。
改定作業が終わったものからpdfでアップします。

〈改定したところ〉
1)『説文解字』に掲載されている部首を入れた
2)説文の大徐本と段注本で異なる場合は両方掲載した
3)いままで「説文」と表記していたものを「大徐」「段注」と表記を分けた
4)『五経文字』『九経字様』に掲載されている部首を入れた
5)異なる字種かもしてない例を削除した

1807jitai2-15.pdf
1807jitai16-27.pdf
1807jitai28-39.pdf
1807jitai40-47.pdf

(2018.07.28 Hajime Okuma)
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2018年03月05日

字体変遷字典 【子】字存孝孜学孟

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【存】後漢までは縦線が1本なかったようである。草書も縦線がない字体に倣っているようだ。

【孟】石門頌では「子」の説文古文と同じように左右に点がある。居延漢簡では「子」の横線が1本多いが、これは左右の点がつながったものかもしれない。

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2018年01月31日

字体変遷字典 【女】嬢嬰嬬【子】子孔

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【嬢】異体字の「孃」は人名用漢字でJIS第二水準にある。『教育上より見たる明治の漢字』に「孃」の許用字として「娘」が載っている。現代中国では「娘」と「孃」が「娘」に統合されている。「娘」は甲骨にあるが人名として使われているにすぎず亡失したとおもわれる。「孃」は説文にあるが古代の字に見えない。漱石は略しすぎ。太宰の「孃」は「口」が二つ繋がっている。
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2017年10月19日

字体変遷字典 【女】媛婿嫁嫌嫉嫡嬉

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【媛】2020年度から教育漢字になる。

【婿】「婿」「壻」「聟」は異体字。説文には「士部」に「壻」が載っており、その或体として「婿」が載っている。

【嫉】説文に人偏の異体字がある。

【嫡】五経文字は干禄字書の旁の点の角度を説文篆文に倣って修正したのだろう。康煕字典と当用漢字表は旁の点の角度が異なる。



〈参考にしている主な字典〉



【嬉】説文にないので、篆書では「娭」を書く。
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2017年08月14日

字体変遷字典:【女】娼婆婦婁媒

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※【婁】の漢字整理案は別字でしたので削除します(2017/8/7削除)


【婦】旁の上部の「ヨ」の真ん中の横線は古代は右に出ない。

【婁】五経文字と康煕字典の字体が異なる。説文篆文と比べてみると康煕字典の字体の方が近いと思う。ほとんどの漢字は手書きでは伸ばす線は1字に1箇所に整理されるが、この字はまだ決まっていないらしい。私見では「女」の横線だけを伸ばすのがよいと思う。漢字整理案では「米」の右払いを払っている。(2017/8/7削除)
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2017年08月06日

字体変遷字典:【女】姪娯娠娘娩婚

「娩」が2004JISで女の8画から7画に変更になったので、「娘」の後に入れました。
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【娯】漱石が不思議な字体を書いている。偏は何を書いているのだろう。行人偏か言偏か。

【娘】『教育上より見たる明治の漢字』に「嬢」の許用字として「娘」が載っている。現代中国では「娘」と「嬢」が「娘」に統合されている。「娘」は甲骨にあるが説文にない。「嬢」は説文にあるが古代の字に見えない。漱石は略しすぎ。太宰の「孃」は「口」が二つ繋がっている。

【娩】JIS2004で字体が変更された。現在は康煕字典と同じ「娩」で女の7画だ、が変更前は「娩」で女の8画。人名用漢字は「娩」であって「娩」ではない。偏を「子」とする異体字がある。
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2017年08月04日

字体変遷字典:【女】姪娯娠娘婚娼婆

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【娯】漱石が不思議な字体を書いている。偏は何を書いているのだろう。行人偏か言偏か。

【娘】『教育上より見たる明治の漢字』に「嬢」の許用字として「娘」が載っている。現代中国では「娘」と「嬢」が「娘」に統合されている。「娘」は甲骨にあるが説文にない。「嬢」は説文にあるが古代の字に見えない。漱石は略しすぎ。太宰の「孃」は「口」が二つ繋がっている。
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2017年07月10日

字体変遷字典 【女】姻姥姦姿姫

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【姻】文部省活字では旁の「因」の中の「大」の右払いを払っているが、四角で囲まれた空間の中では止めるべきだとおもう。康煕字典に倣ったのだろうか。当用漢字表や当用漢字字体表は止めている。「因」の中の「大」は開脚して「土」になり頭をすくめて「工」になり右側が省略されて「コ」になる。

【姦】「姦」「姧」「奸」が異体字なのか異なる字種なのか難しいところだ。殷代には「姦」と「奸」があり、説文にも「姦」と「奸」が別に掲載されていて「姧」は見えない。「姧」が出現するのは南北朝期のようだが、二玄社『新書源』では敬史君碑の「姧」は「奸」の異体字として掲載されている。五経文字には「姦」の〈訛〉つまり俗字として「姧」が載っており、「奸」は別に載っている。平安から江戸時代には「姦」の意味で「姧」を使っている。康煕字典には「姦」「姧」「奸」が別々に載っている。現代中国では「奸」を使う。
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2017年06月16日

字体変遷字典 【女】姓妬妹娃姶威


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【妬】説文篆文は「女+戸」。睡虎地秦簡や馬王堆は「女+石」。干禄字書では「妬」が正字体で「妒」が通字体。五経文字も「妬」をとり「妒者非」としている。康煕字典には「妬」と「妒」の両方があり同字。陸軍幼年学校用字便覧も「妬」と「妒」を同字としている。説文篆文の字体が誤っているのかもしれない。馬王堆1は「石」と「女」が上下の位置関係になった移構の文字。
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2017年03月05日

字体変遷字典218-219:【女】妊妨妙妖姐委姑


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【妊】「姙」という異体字がありそれを顔真卿が「多宝塔碑」で書いている。「明治の漢字」では「娠」の〈許容〉の異体字に「妊」をあげている。その通りなら「妊娠」を「妊妊」と書いてもよいことになる。
【妙】説文篆文では「玅」の字体。弘道軒四号と三号では字体が異なる。
【妖】説文篆文では旁にくさかんむりのようなものがある。
【委】漢代以降、左右に伸ばすのは「女」の横線で、「禾」の右ハライは止める。
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2017年01月16日

字体変遷字典:【女】如妃妄妓妥

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【妃】旁は説文では「己」、五経文字も「己」、康煕字典は「已」、文部省活字は「己」、当用漢字表は「已」、当用漢字字体表は「己」。手書きでは「己」、「已」、「巳」はあやふやになる。

【妓】中国には旁を「多」とする異体字があり、説文にも載っている。手書きでは咎なし点が付くことがある。
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2016年10月22日

字体変遷字典:【大】奮【女】女奴好


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【奮】下部の「田」を「臼」または臼の略字の「旧」にする異体字があり、干禄字書では下部を「臼」とする字を〈俗〉としている。日本では下部を「旧」とする字が書かれ、漱石も書いている。



〈参考にしている主な字典〉

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2016年10月10日

字体変遷字典:【大】奏套奥奨奪


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【奥】説文篆文の字形を楷書にすれば「奧」の方が近いとおもうのだが、五経文字では「奥」。中国でも日本でも書かれていた字体は「奥」。「奧」は康煕字典、文部省活字、当用漢字表。太宰治が「奥」を書いているのが興味深い。
【奨】中国から日本の平安時代まで下部を「廾」にしている。江戸期以降は下部を「大」にしている。康煕字典は「奬」を「大」の部首に「獎」を「犬」の部首に載せている。説文篆文に従えば「獎」のはずだが文部省活字も当用漢字表も「奬」。
【奪】下部を「集」にする異体字があり、干禄字書では〈俗〉とするが平安以降の日本では書かれることが多く、漱石も書いている(2016.10.12訂正)。



〈参考にしている主な字典〉


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2016年09月19日

字体変遷字典:【大】奇奈奉奔契


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〈図版改定〉2016.09.26

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【奈】康煕字典に「同柰」とある。説文篆文には「奈」は見えず「木」部に「柰」が、「示」部に「祟」がある。



〈参考にしている主な字典〉


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2016年09月01日

字体変遷字典:【大】夫央失夷奄


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【失】楚簡に異体字がある。草書は鄭固碑や楊淮表記の字体をくずしたものか。当用漢字表に使われた活字は左払いが欠損している。



〈参考にしている主な字典〉



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2016年08月27日

〈陰刻の拓本の文字を黒地白抜きに〉字体変遷字典:【夕】夢【大】大太天

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陰刻の拓本の文字を黒地白抜きにしてみました。
この方がいいですかねえ?

【夢】干禄字書の〈俗〉と〈正〉は字体の違いというよりも、筆遣いと筆順の違いだけのように見える。康煕字典では「夢」と「梦」は俗字として別の部首に出ている。「梦」の使用例は少ないが、漱石は一貫して「梦」を書いている。現代中国は「梦」を採用している。集字聖教序の字体は行書と草書のどちらにするか迷う。
【大】泰山刻石の字体は説文篆文と異なり、説文籀文に近い。泰山刻石が小篆とすれば説文篆文は大篆か。
【太】元は「太」は「泰」の古文だという。
【天】泰山刻石と説文篆文の字体が異なる。



〈参考にしている主な字典〉

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